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迷宮都市の王
3.5話〜 アリサたんの過去だお〜

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ベットの上で、アリサはテン・プレ(主人公の名前)の厚い胸板に抱きつきながら、とても愛しい気持ちとともに、テン・プレと出会った300年前の日々を思い出す。
当時のアリサは、お金で売り買いされる道具だった。
何時生まれたのかすら分からない。
気づいたら奴隷商(NPC)というご主人様がいて、自分は奴隷という名前の商品だった。
金髪の可愛いらしい容姿、豊かな巨乳を目的に次々と色んな男の手に渡り、慰みものになってきた過去がある。
飽きたら再び奴隷商人に売られて捨てられ、奴隷商人からも犯されて捨てられ、次の新しいご主人様に買われて犯されて捨てられる、その悪夢を繰り返していた。
なぜ捨てられるのか分からない。
私はこれほど相手に尽くそうと思っているのになぜ捨てるの?
ある日、アリサは自分を買った1人の男(NPC)に問いかけてみる事にした。

「ご主人様、私を捨てませんよね?
私はあなた様に尽くします、何でもします、私を捨てないでください」

「ぎゃははははは!
何を言ってんだ!デカパイC!
俺は冒険の間、性欲処理させるための肉人形として買ったんだよ!
飽きたら捨てて、次の女を飼う!当たり前だろ?」

「な、なぜそんな事をするのですか?」

「お前ら奴隷はな、この世界で人権を持ってないし、勝手に湧いて出てくるだろ?
奴隷商人の近くの地面から湧いて出てくる奴隷を見た事あるぜ。
そんな奴はな、性欲処理してポイっと捨てるのが常識なんだよ」

アリサは世界や男という生き物に絶望した。
そして、自分の生まれの謎が判明して、嫌な気分になった。
地面から人(NPC)が湧いてでてくる。
アリサにはその光景に見覚えがある。
浮浪者(NPC)やホームレスボーイ(NPC)などの人権がない人間達が、地面から湧いてきて誕生した光景を見た事があるのだ。

(私は何なんだろう。この世界は何なんだろう。
酷い酷い酷い、狂ってる、この世界)

そしてまたアリサは男に犯された後に、奴隷商人に売られて捨てられた。
どれだけ男に尽くしても、料理を作っても、夜にべットの上で喜んで貰えるように奉仕しても、ご主人様は飽きたらアリサの事を捨てる。
奴隷は自殺する事すらゲームを支配するシステムの仕様で許されないから、アリサは心の底から泣き、自分の命じゃなくて、心を殺そうと思った。
そんな矢先、身長3mの大天使テン・プレと出会った。
それは空が曇っている日、アリサは何時ものように奴隷として扱われて、市場で売られていた日の事。
空から急降下してきた大天使テン・プレが、アリサを所有している奴隷商のオッサンに向かってこう言った。

「交渉スキルが高い娘を売ってくれ。
魅力ステータスが高い美人を頼む」

「おお!冒険者さん!
ちょうどいい娘がいますぞ!
交渉スキルも高い上に、性奴隷としてもぴったり!」

奴隷商人は上客と見て両手を揉みながらテン・プレに媚を売り、奴隷を入れている檻がある場所へとテン・プレを案内した。
その檻の一つに、絶望して地面をずーと向いている金髪巨乳巫女のアリサの姿がある。
テン・プレはこの場にいる奴隷の中で一番可愛らしい容姿をしているアリサへと眼を向けて、一目で気に入った。
魅力ステータスがかなり高いと外見から判断したのである。

「可愛い巫女さんだな。
金額はこれくらいでいいか?」

テン・プレが相場の2倍の額を出したから、奴隷商はすぐにアリサを売った。
このゲームにおいて奴隷NPCは常に一定の数を補充するために勝手に湧いて出てくる存在。
逆に一定の数以上の奴隷を奴隷商が所有すると、所有している奴隷がランダムで消去される鬼畜仕様。
客が高値で奴隷を欲しがっているならすぐに売るのが常識となっている。
売られる事になったアリサは、絶望した感情のまま、テン・プレの大きな大きな身体を見た。

(なんて大きな男なのだろう。でも、どうせ、この人も私を犯して捨てるのだろうな)

もしも、テン・プレという男が、アリサを使い捨ての性玩具代わりに購入する男だったら、アリサの心には修復不可能なレベルで傷がついていたはずだったが、幸運にもそうはならなかった。
ギリギリの所でアリサは幸運を手にした事になる。
そう、戦国時代の織田信長が、圧倒的な戦力を保有する今川義元に桶狭間に勝利するかの如く、奇跡の偶然だったのだ。







「お前の仕事はアイテムを売る事だ。売上の1割はお前の物になる」

アリサは買われて、すぐにテン・プレにこう言われて驚いた。
普通、男(NPC)が、奴隷の美少女を購入する目的は性的欲求を満足させる事のはずなのに、テン・プレは普通にアリサに仕事を任せてくる。
彼女の常識だとこれはありえない事だった。

「あ、あの、ご主人様は私を抱かないので?」

「何を言ってるんだ?
俺は露天売りをやってくれるペットが欲しくてアリサを購入したんだ。
なのに、どうしてそんな無意味な事をゲームでやらないといけないんだ?
ゲームのモニターに【エッチ】しましたと表示されるだけで虚しいんだぞ」

一部、アリサには理解できない内容だったが、テン・プレに自分を抱く意思がない事だけはわかった。

「え?な、なら、う、売上の1割を私に下さるのは何故です?」

「ひょっとしたら露天売りの仕事の他に、俺と一緒にモンスター狩りをやってもらうかもしれないからな。
売上の1割もあれば、ペット専用の訓練所に通って、戦闘用のスキルを得たり、訓練してスキルを向上させられるだろう?」

アリサは、女としての自分以外を必要としてくれるテン・プレを見て戸惑った。
でも、不思議と心が暖かくなって、このご主人様と一緒なら幸せになれそうな気がした。
アリサは言われた通り、テン・プレの自宅の前で露天を広げて、テン・プレがダンジョンから大量に獲得したアイテムを売る仕事を始める。
道を通る冒険者(プレイヤー)や町の住民達(NPC)を相手に話しかけて、アイテムを売り込む。
冒険者は皆が高価そうな鎧や武器を持っているから、簡単に外見から区別がついた。
そして、冒険者の職業ごとに必要としているアイテムが違う事をすぐに理解した。
前衛職ならHPを回復させるポーション、後衛職ならMPを回復させるポーションを必要としていると理解した上で、前を通りかかった神官の冒険者にアリサは話しかける。

「お客さん、お客さん。
このMPを回復させるポーションをいりませんか?今ならお得ですよ」

「おお!ちょうど切らしてた所なんだ!
在庫はあるか?
全部買うぞ!」

「はい、在庫は1万個あります」

「よし買った!」

冒険者はアリサが見た事もないような圧倒的すぎる大金で、MP回復ポーションを購入して、奪うように持っていった。
アリサは色んなお客さんと会話して、物を売る仕事をやっていくにつれて、人間性を取り戻していく。
お金を稼げる上に、相手が喜んで幸せになってくれる商売を楽しいなと思った。

(そうだ、私はこういう幸せを求めていたんだ。
身体を売る事なく、相手に喜んで貰える、そんな仕事を求めていたんだ)

露天売りの仕事は色んな人と会話できて、アリサたん幸せ。
そうやって仕事をしていく内に、冒険者とは圧倒的な力を持つ強者だという事を知った。
死亡しても神様か冒険者の神官が蘇生させ、毎日のように凶悪なモンスター達と殺し合いをし、時には復活した大魔王すら倒す勇者達。
そして、ご主人様のテン・プレは冒険者の中でトップクラスの実力を持つ男で、世界の危機(運営イベント)を何度も救った事も同時に知り、アリサはテン・プレの事を尊敬するようになった。
空想の主人公としか思えない存在がこの世界にいる事を、アリサは誇らしく思い、ますますテン・プレに憧れるようになる。

ご主人様のテン・プレは定期的に帰ってきては、大量のアイテムをどさどさアリサに渡し、少しの会話をした後に売上の9割を持って、またどこかのダンジョンへと向かって行方を眩ませるから少し寂しかったアリサだったが、アリサは何時か、自分を性奴隷の境地から救ってくれたテン・プレの隣で並んで、一緒に危険な場所で戦える対等な男女になりたいと思い、そういう空想を毎日のように脳裏に思い描いていた。


晴れている日はお客さんと会話するのが楽しくて露天売り。
雪の日や雨の日は、訓練所に通って日本刀・弓矢の扱い方を学ぶ。
そうやって、テン・プレと一緒に冒険するために鍛錬に励んでいるある日。
後世で世界滅亡の日と呼ばれる大事件が発生した。
冒険者、街を守るガード、神様達が世界から姿を完全に消して行方を眩ませた。
街を守るガードがいないという事は、街の外にウヨウヨいるモンスター達が街の中に入ってくる事を意味する。
最初は人類国家群の力で何とかモンスターに対処できていたが、モンスター達のせいで街道が寸断され、各都市が孤立して国際経済が壊滅。
食料や武器を輸入に頼っていた国家の尽くが滅び、世界は人類滅亡まっしぐらの暗黒時代に突入した。
世界情勢が真っ暗になった事で、アリサは、また悲しい気持ちになった。
悲しい気持ちを、テン・プレの自宅にいた銀髪ロリ吸血鬼娘のテレサたんとベットの上で抱く事で晴らしたが、街を歩けば多くの男達がアリサに言い寄ってきて「嫁にならないか?」と告白してくる。
こわい。
男性がこわい。
言い寄ってくる男たちを見るだけで、犯したら飽きてアリサの事を捨てた以前の飼い主達の事を思い出してしまう。
露天売りをやっている時にも、この手の客がたくさん来て嫌な思いをした。
そして、誰かと付き合う事でテン・プレへの淡い思いがなくなってしまうのが嫌だった。
どうせ人類が滅亡するなら、この思いだけは残したいと思ったアリサは、テン・プレから預けられた大量の媚薬ポーションを時間をかけて全て飲み干した。
ご主人様への好意が強制的に上がってしまう禁断のポーション。
これでもう、アリサはテン・プレ以外の男に惚れる事は不可能になった。
でも、自分の意思で一人の男をずっと愛すると決めた以上、それはもう自己責任。
二度と会えないかもしれない相手の事をずっと愛すると、アリサは決めた。





アリサはテレサが太陽光を克服して自分の手から独り立ちした後、世界中を旅して、テン・プレと会おうと旅をした。
そして、再会できた時のために、隣に並べるだけの強さを得ようと、モンスターを斬って斬って殺した。
女性の利点はスピードが早い事。
非力な点は技で補う事で、アリサは10年ちょっとで剣の達人になった。
巫女という職業は、遠距離・近距離・回復を全て揃えたソロプレー向きの職業な事もあり、1人でも戦闘はへっちゃら。
傷ついても、時折出会うテレサとの再会がアリサの心を癒した。
世界を旅している間にも色んな男達から「あんたの事が好きだ!結婚してくれ!」「愛人になってくれ!」と言い寄られたが無視した。
実際に暴力を振るって無理やり犯そうとしてくる男の場合は物理的に男性器を切断した。
たまに優しい男と付き合う事があっても、その男の事を全く愛してない事がばれて、男女の仲が破綻し、すぐに別れる日々。
テン・プレ以外の男に尽くす事ができない身体になったのに、他の男と付き合って上手く行く訳がなかったのだ。




そして、300年後の今。
アリサたんはテン・プレに抱きついて幸せ。
豊かに実った巨乳を、愛する男の厚い胸板に乗せ、何時か、この男の子供を孕む日を夢見て、アリサたんは眠る。

「主殿はどのような夢を見られておられるのですかな?」

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●アリサたん良い女
主人公の温もり感じながら会話

●過去

●奴隷として売られて、色んな男たちに慰みものにされてきた過去がある。
悔しくて悔しくて仕方なかったけど、主人公に買ってくれた時から状況が一変
☟ 最初は自分の事も犯すつもりだろう?と思っていたけど放置された
●毎日、色んな商品を露天で売る日々。売上の1割を貰って、人間らしい暮らしができた。

●返せないほどの深い恩がある

●でも、男に惚れっぽくて、文明崩壊後は色んな男と寝た。自己嫌悪した。
惚れた男は、この世界ではすぐ死ぬ

●どうせ世界は滅びる

●この思い出だけは汚したくないから、ご主人様への好感度が高くなるポーションを全部飲み干し、思い出のために生きる事にした




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