ベットの上で、アリサはテン・プレ(主人公の名前)の厚い胸板に抱きつきながら、とても愛しい気持ちとともに、テン・プレと出会った300年前の日々を思い出す。
当時のアリサは、お金で売り買いされる道具だった。
何時生まれたのかすら分からない。
気づいたら奴隷商(NPC)というご主人様がいて、自分は奴隷という名前の商品だった。
金髪の可愛いらしい容姿、豊かな巨乳を目的に次々と色んな男の手に渡り、慰みものになってきた過去がある。
飽きたら再び奴隷商人に売られて捨てられ、奴隷商人からも犯されて捨てられ、次の新しいご主人様に買われて犯されて捨てられる、その悪夢を繰り返していた。
なぜ捨てられるのか分からない。
私はこれほど相手に尽くそうと思っているのになぜ捨てるの?
ある日、アリサは自分を買った1人の男(NPC)に問いかけてみる事にした。
「ご主人様、私を捨てませんよね?
私はあなた様に尽くします、何でもします、私を捨てないでください」
「ぎゃははははは!
何を言ってんだ!デカパイC!
俺は冒険の間、性欲処理させるための肉人形として買ったんだよ!
飽きたら捨てて、次の女を飼う!当たり前だろ?」
「な、なぜそんな事をするのですか?」
「お前ら奴隷はな、この世界で人権を持ってないし、勝手に湧いて出てくるだろ?
奴隷商人の近くの地面から湧いて出てくる奴隷を見た事あるぜ。
そんな奴はな、性欲処理してポイっと捨てるのが常識なんだよ」
アリサは世界や男という生き物に絶望した。
そして、自分の生まれの謎が判明して、嫌な気分になった。
地面から人(NPC)が湧いてでてくる。
アリサにはその光景に見覚えがある。
浮浪者(NPC)やホームレスボーイ(NPC)などの人権がない人間達が、地面から湧いてきて誕生した光景を見た事があるのだ。
(私は何なんだろう。この世界は何なんだろう。
酷い酷い酷い、狂ってる、この世界)
そしてまたアリサは男に犯された後に、奴隷商人に売られて捨てられた。
どれだけ男に尽くしても、料理を作っても、夜にべットの上で喜んで貰えるように奉仕しても、ご主人様は飽きたらアリサの事を捨てる。
奴隷は自殺する事すらゲームを支配するシステムの仕様で許されないから、アリサは心の底から泣き、自分の命じゃなくて、心を殺そうと思った。
そんな矢先、身長3mの大天使テン・プレと出会った。
それは空が曇っている日、アリサは何時ものように奴隷として扱われて、市場で売られていた日の事。
空から急降下してきた大天使テン・プレが、アリサを所有している奴隷商のオッサンに向かってこう言った。
「交渉スキルが高い娘を売ってくれ。
魅力ステータスが高い美人を頼む」
「おお!冒険者さん!
ちょうどいい娘がいますぞ!
交渉スキルも高い上に、性奴隷としてもぴったり!」
奴隷商人は上客と見て両手を揉みながらテン・プレに媚を売り、奴隷を入れている檻がある場所へとテン・プレを案内した。
その檻の一つに、絶望して地面をずーと向いている金髪巨乳巫女のアリサの姿がある。
テン・プレはこの場にいる奴隷の中で一番可愛らしい容姿をしているアリサへと眼を向けて、一目で気に入った。
魅力ステータスがかなり高いと外見から判断したのである。
「可愛い巫女さんだな。
金額はこれくらいでいいか?」
テン・プレが相場の2倍の額を出したから、奴隷商はすぐにアリサを売った。
このゲームにおいて奴隷NPCは常に一定の数を補充するために勝手に湧いて出てくる存在。
逆に一定の数以上の奴隷を奴隷商が所有すると、所有している奴隷がランダムで消去される鬼畜仕様。
客が高値で奴隷を欲しがっているならすぐに売るのが常識となっている。
売られる事になったアリサは、絶望した感情のまま、テン・プレの大きな大きな身体を見た。
(なんて大きな男なのだろう。でも、どうせ、この人も私を犯して捨てるのだろうな)