メルカッツ達は怒り狂いながら、とうとう最終階層の一階前……五階層へと到達した。
私の予測だと、ここに来るまでに全滅しているはずだったが、現実は上手く行かない。
無理ゲーすぎる米軍相手に奮戦したベトナム民兵の苦労が理解できた気がした。
「カグヤ君っ!それでも未来の聖帝かっ!?
大人しく出てこいー!正々堂々と勝負しろー!」
卑怯者なお前が言うな。
弱者には弱者なりの戦い方というのがあるのである。
罠を大量に仕掛けて、お客さんを大歓迎するのが私のやり方なのだ。ベトナム紳士的に考えて。
既に敵の数は総数二十人ほどに減り、その内、十人を一階層の入口に配備して、ネズミ一匹すらも外に逃さないように頑張っている。
五階層にいるのは、残り半分に相当する十人。
私は千里眼の水晶でその様子を遥か遠くから様子を観察し、心をワクワクさせながら罠が活躍する瞬間を待つ。
「どこだぁー!小娘ぇー!」
「犯しながら切り刻んでやる!」
「殺す!絶対に殺す!仲間の仇だ!」
問題があるとするならば……こいつらのレベルがかなり高い事。
そんじゃそこらの罠程度では死んでくれない。メルカッツは耐性装備を完全に揃えている上に回復魔法を込めた魔石を持っているから、罠のほとんどが無意味。
そろそろ私達のアイテムボックスの物資にも不足が出てきたし、どうしよう。
最終階層の罠だけで、メルカッツを仕留める事は可能なのだろうか?
おっと、見ている間にも、階段周辺の壁が破壊され、私が隠れる場所が少なくなってゆく。
こうやって総当り方式に壁を壊すのは、有用な手といえば手なのだが――
「ぎゃぁー?!巨大落とし穴だぁー!」
私が設置した罠にもかかりやすくなって、穴の底にいるカミカゼ・オーク十匹の大爆発で死んでくれた。
自爆系統の攻撃。命と引き換えにとんでもない大ダメージを与えるから、高レベルの寄生生物相手でも通用する。
しかも、落とし穴という狭い空間で、連鎖爆発して爆圧も高まるというオマケつきだから、落ちればメルカッツでも一気にHPがゼロになって即死だろう。
「もっふー!これで残り19人ですね!カグヤさま!」
隣にいるエミールが狐耳をピョコピョコさせて喜びながら、私の猫耳を掴んで揉みしだいてきた。
うん、勝利の美酒は素晴らしい。
この調子でメルカッツ死んでくれないかなぁ……。
こっちにもう少し人手があれば、取れる戦術の幅が広がるのに……。
結局、メルカッツは罠にはまらず、寄生生物を追加で4匹仕留めただけで五階層を攻略されてしまった。
メルカッツは四人の仲間を階段前に置き、単身で最終階層へとゆっくり降りてくる。
その顔は勝利の美酒に酔っていた。
私を追い詰めたと思い込んでいる。
「カグヤ君っ!
とうとう終わりの時が近づいたぞ!
これで魔族……いや、ユルサァン星人の世界は守られる!」
そう叫んで、階段を下り終えたメルカッツ。勝利を確信した彼の目の前にあったのは――
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ブヒィー」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
千匹を超す豚顔のオークの大軍団だった。しかも、オークキングlv百を含んでいて質も良い。
メルカッツは罠と気づいて引き返そうとするが、私は瞬時に
「土壁(アース・ウォール)!」
遠い場所から魔法を使い、階段前に大量の壁を作りまくり、退路を閉じてやった。
メルカッツは腕をプルプル震わせて怒り任せに叫ぶ。
「カグヤぁー!?
卑怯者めっ!絶対に女である事を後悔させてやるぅっー!」
いやいや、メルカッツさん。
私は、アナタにやられた事をやり返しただけですよ?
弟子として師匠に贈れる最大限のプレゼントです。
モンスターの大物量でゆっくりしていってね!
ちなみに、私は最終階層に安全な場所を作って、そこで見物しますから。
どうかお構いなく。
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カグヤ Lv40 ※レベルで上がるのはHPとMPのみ。その他のステータスは食事と行動とスキルのレベルアップで上昇する。
所持金 約3万
筋力 9
耐久 8
器用 10
感覚 10
習得 12
意思 12
魔力 120+30
魅力 35(+100)
生命力:90(+30)
マナ:90
速度:2000
クラス 魔法使い
獲得スキル 詠唱(魔法の成功率)瞑想(MP回復)エコ魔法(魔法のストック節約)魔力の限界(MP切れた状態で魔法使った時の反動を抑える)など×1000のスキル
獲得魔法 無属性LV3 混沌属性LV5 土属性Lv30
状態異常
称号 『男女』
装備
手
頭
首
足
指
胴体 ★神聖なる巫女服『カグラ』(90.20)
遠隔武器 ✩純白に光るパンティー『ピンクレディー』(10d6)
弾薬
この話のコメントまとめ+作者の感想
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