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ラッキーの不思議な旅
最終話 次の旅は異世界で
金髪の少女ラッキーは今日も草木だらけの荒れ果てた道をトコトコ歩いていました。
でも、あんまり楽しそうではありません。
とうとう、この惑星上に存在する全ての国に軽く３回以上訪れてしまったからです。
そろそろ故郷に帰ろうかな？と頭を唸らせていると、不思議な事に、目の前に可笑しい門があります。
どう可笑しいかと言うと……門の中に真っ黒の空間が見えるからです。
本来は門の向こう側には、自然と山が広がっているはずなのに、これはありえない事でした。
気になったラッキーは頭の上にいる妖精さんに向かって
「ねぇ、妖精さん。
これって何だと思う？」
「……ラッキー。
まさか門の中に入る気じゃないよね？」
「クスクスクス。
中はどうなっているんだろうね」
ラッキーは笑いながら容赦なく、門へと進みました。
新しい未知との出会いが、そこに待ち受けている気がしたのです。
妖精さんはそれを止めようと頑張りますが、不可能です。
体の体格が違います。
「やめてぇー！故郷に二度と帰れない気がするから僕は大反対だよ！」
そのままラッキーが門の中を通り過ぎると、次の瞬間、門が完全に消えてなくなっていました。
周りに広がるのは、何もかも破壊されて岩と砂しかない殺風景な大荒野。
さきほどまで昼間だったのに、今は夜です。
空を見上げると、月がたった10個しかありません。
でも、惑星のサイズそのものは木星サイズだったので、特に体に感じる重力に違和感はありませんでした。
「あれ？
別の惑星に来ちゃったのかな？」
「いやぁー！僕、二度と故郷に帰れなくなっちゃったよ！
ラッキー！」
あまりの唐突すぎる異世界トリップ展開に、頭にいる妖精さんが大泣きしました。
ラッキーはこの世界にどんな国があるのかな？と知的好奇心を優先し、久しぶりの満面の笑顔を浮かべて歩きます。
すぐ目の前に多次元世界最強の大魔王【悪夢の皇帝】と呼ばれる最強クラスのクリーチャーが、空中に佇み、大笑いしていますが気にしません。
その外見が、全長90mの超大型の巨人で、頭は脳味噌が直接露出し、本来ならあるはずの頭蓋骨や皮、肉がなく不気味でしたが、ラッキーの興味を特に引きませんでした。
『ふはははははは！
全世界の生きる事を望む者達よ！
我の声を聞くがいい！
貴様らが頼る6人の神々は、我の力で容易く砕け散ったぞ！
絶望するがいい！私は今日中にこの世界を滅亡させて無へと還す！
完全なる秩序【無】が、とうとうこの世界にやってくるのだ！
ふははははははは！ははははは！
我の声を聞いて、全ての生物が絶望しておる！
美味しい！貴様らの負の感情は、なんと美味しいのだ！
絶望と恐怖は最高の食事だ！
もっと絶望するがいい！泣け喚け！恐怖しろ！
貴様らに明日はないと知れ』
「えい」
脳味噌に直接響く大演説が気持ち悪かったので、ラッキーは手持ちの中で最大級の魔法を大魔王目掛けて放ちました。
それは惑星そのものが崩壊しても可笑しくない惑星破壊級のエネルギー。
『ぐあああああああああああああああああああ！？！！！！
これが生きる者達の希望の力なのかっ！？！！！
だが、我は本体の一部に過ぎぬ！
我が滅びても、別の我がこの世界を何時か滅ぼ』
ドカーン！
大魔王はそのエネルギーの奔流に飲み込まれ、必死に抗おうとしましたが宇宙空間へと流され、そこで大魔王の身体が爆発してバラバラに四散、それでも生きていた体の一つ一つが世界中に飛び散り、人間や動物の魂に寄生。
それらは後の時代の大災厄を呼び込む事になる代物でしたが、それは続編に関係する事なので、ここではあえて説明しません。
ラッキーは首を可愛く傾げて、先ほど自分が瞬殺した大魔王はなんだったんだろうと少し興味をもちました。
「妖精さん、あれってなんだったんだろうね？」
「……もうやだ、このエルフ」
妖精さんの愚痴を聞けたのでラッキーはニッコリ笑います。
ラッキーは今日も道を求めて歩きます。
知的好奇心を満たすために、異世界の国々を訪れるのです。
そこには笑いあり、虐殺あり、涙あり、恋愛あり、妊娠あり、子育てありのストーリーが待ち受け、ラッキーを楽しませる事でしょう。
「異世界にはどんな酷い国があるのかな？」
おしまい
あとがき
なお、続編の【どうやら旅歩きでエルフ娘の人生が凄くレベルアップしたようです】の師匠さんが、ラッキーのお孫さんなのは秘密。
一応、ラッキーも続編に出すけど、バランスブレイカーしゅぎる・・・・裏ボスさんが一撃なんてバランス取れなさすぎる・・・
http://suliruku.futene.net/Z_saku_Syousetu/Tyouhen/Sanpo_de_ti-to/index.html
