ラッキーの不思議な旅
21国目 スポーツの国D 閉会式
ジャパンヤー代表選手団が宿泊するラブホテルの一室で、ラッキーはTシャツとスパッツを豪快に次々と脱いで裸になり、脱いだ服を何でも入る異次元ポケットに入れ、いつも着ている白いローブに着替えていました。
頭に花飾りをつけて可愛らしいです。
忘れ物はないか、何か欲しい物はないかを、最後に確認し、ラッキーは
「よし、旅に出る準備できた。」
チョウセン国から出国するために、扉を開けて部屋の外へと出ようとすると、そこには病院からようやく無理して退院した熱血コーチの姿がありました。
パジャマを着ているコーチの身体は、食中毒のせいでガリガリに痩せていて、動悸が荒いです。
ラッキーは今までお世話になったから、その場で一礼して別れの挨拶をしました。
「コーチ。
この1年間、ありがとうございました。
私、旅に出ようと思います。」
ラッキーはコーチの傍を通り抜けようとすると、両肩をガッシリ掴まれ、コーチが顔を近づけて叫びました。
別れる寸前に至った恋人を、説得するような雰囲気です。
「ラッキー君!
さっきの金メダル取り消し騒ぎは残念だったが、戦いから逃げては駄目だ!
こんなに酷い大会をやるのは、チョウセン国だけだ!
他の国で開催される大会は、まともだから安心して欲しい!
君は世界の頂点を取れる逸材!
その才能を無駄にしないでくれ!
お願いだ!頼む!」
コーチはラッキーから両手を離して、その場に土下座しています。
熱意が凄く伝わりましたが、このインチョーンアジア大会2014で酷い目にあったラッキーの決意は揺るぎません。
「うーん、そうなのかなー?
結局、審判に賄賂払った方が勝つんだよね?
私、スポーツはもっと公平で紳士な物だと思っていたのに、プロスポーツの汚さに辟易したよ。」
「この国だけが酷いだけなんだ!
私を信じてくれ!
他の国はまともなんだ!
この国が極端に酷いだけなんだ!」
コーチの目は真摯です。
思わず、ラッキーはここに留まりそうになりました。
でも、この大会のせいでスポーツに未練はありません。
ラッキーは右腕を振り被り、コーチの首に強い空手チョップを浴びせました。
まるでコーチへの想いを振り切るような爽快な一撃です。
「えい!」
「オバロド!」
コーチはこの一撃で脳震盪を起こして床に倒れて気絶しています。
ラッキーは悲しそうな顔でコーチの顔を30秒ほど見つめた後、1年間、一緒に過ごした楽しい思い出の日々を振り払い、場を後にしました。
これ以上、この国に居たら、国丸ごと海にしちゃいそうなだけに、急いでラブホテルから出ると、秒速1kmの速度で遠い場所へと飛んでいきます。ビューン!
空の彼方へと、ラッキーは消えました。
コーチが次に目を覚ました時、そこはやはりラブホテルの通路でした。
数十匹の蚊がコーチの身体のあちこちを刺して、血液を抜き取っているから、身体が痒いです。
少し前に何をしていたのかを思い出して
「・・・・?
そうだ!ラッキー君を説得しなければ!」
首から感じる痛みを無視して、場から立ちあがって、ラッキーが何処にいるのか一生懸命探します。
部屋にある回転ベットの上にも下にも、ラッキーはいません。衣服も下着も全部ありません。
だから、ラッキーが外にいると思ったコーチはエレベーターが故障しているから階段を下って一階まで降りて、ラブホテルの従業員に話しかけました。
従業員は面倒くさそうな目を、疲れてヨロヨロの姿のコーチに向けています。
「そ、そこの君!
ここを金髪の小さくて10歳くらいの女の子が通らなかったか!?」
「あー、通ったかな?
わかんないなー。」
従業員は、まともに仕事をせずに周りを全く見てなかったから、ラッキーの事を見ていませんでした。
コーチは従業員の態度にイライラしながら、ラブホテルを出て、仁川広域市の街中を探しまわります。
チョウセン国第三都市であり、250万人以上が住んでいる大都市で、コーチは必死に夜になった後も、ラッキーを探しました。
でも、ラッキーは既に遠い場所に飛んで行ったから、会える訳がありません。
コーチは、涙を流し、悔しい思いとともに叫びました。
「私は・・・・私は・・・この大会でラッキー君を失った・・・・?
うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
世界を狙える才能が、この国に潰されだあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
1年間頑張って育て上げた天才選手ラッキーと、コーチは二度と会う事はありませんでした。
もしも、この大会にラッキーが出てなかったら、2年後のオリンピックの後に二人は結婚していたかもしれません。
インチョーンアジア大会は16日間の日程を、奇跡的に死者ゼロで切り抜けて、閉会式です。
1万人の選手達は、最悪な大会だったなと思いながら、広大な会場へと向けて次々と入場しています。
さすがにもう、可笑しい事は起きないだろうと思って油断していると
ドカーン!
会場の音響設備が故障して白い煙が上がり、選手達は唖然としました。
大会のスタッフ達は急いで、故障した音響設備を運搬して、他の場所へと持って行き、大事故に繋がらずに済んでいます。
でも、選手達からのインチョーンアジア大会2014の印象は最悪です。
各試合でインチキが大量に行われ、外国の選手の方が圧倒的優勢だったにも関わらず、なぜか一方的にボコボコにされたチョウセン国側の勝利判定という事態が各競技で多発して裁判沙汰
大会中に卓球のファビョーン・ションファー監督が飲酒運転してタクシーと衝突して逮捕。
チョウセン国の柔道協会会長が許可証なしに3人をvip席に招待し警備に暴行して刑事告発。
公衆トイレにはトイレットペーパーがなく、簡易トイレは詰まりっぱなし。
障害者用の駐車場をVIP用として利用し、肝心の障害者が乗っている車を送り返す。
メディア関係者専用のバスの中で放映されていた番組は、思いっきり政治を絡めた反ジャパンヤー国ドラマ。
蚊にどれだけ刺されたかを記者達は皮肉気に語り合い、各国の選手もサポーターも記者もとんでもない経験を得たのです。
次に閉会式を飾るショーが開催されましたが、他の大会と比べると華やかさにかけていました。
パフォーマーがたった170人なんです。
最初に登場した児童合唱団が30人程度。
続いて女性ダンサー8人のダンス
28人の太鼓演奏
少年100人のテコンドー演舞が続き、合わせて170人程度の地味なショーでした。しかもチョウセン国の放送局が中継に失敗して、リアルタイムで視聴する人達が少ない前代未聞の閉会式なのです。
4年前の広州アジア大会の歴代最少と報じられた閉会式のパフォーマーが2700人だった事を考えると、明らかに可笑しいのです。
膨大な予算を投じられたはずなのに、こんな事になっている時点で、大会予算は横抜きされすぎて、審判の買収などに使われて現場にまで行き届いてない証拠でした。
1万人の選手達は、後に香港ヤーのメディアから村の運動会並と揶揄される大会の地味なショーを見ながら、世界最悪の大会がもうすぐ終わるんだなと、苛立ちながらも安心した気持ちになっています。
不正判定が多すぎて散々でしたが、このチョウセン国から出国できる、もうそれだけが救いです。
一通りショーが終わり、インチョーンアジア大会2014はもうすぐ幕を閉じる事になります。
最後に大会を運営するお偉いさんの演説で最後です。
何故かとっても誇らしげな顔をしています。
「この大会は大成功でした!
限られた予算を上手く運用し、既存施設の利用や、多少の不便を残して切り抜けました!」
会場中に居た1万人の選手達が(おいおい約2200億円も使ったのに、限られた予算なのかよ。それ以前に多少の不便が多少じゃないだろ)と、心の中や、実際に言葉に出してツッコミました。
「他の予算が多い大会と比べてはなりません!
それは現実的な考えではありません!
インチョーンアジア大会は全員が満足する大会となりました!」
チョウセン国の新聞記者達の心の中は(2002
FIFAワールドカップなどの過去の大会に比べても、建国以来最悪のスポーツ大会だろ・・・記事にしてやる。)翌日、チョウセン国の主要メディアが建国史上最低最悪の大会と酷評してインチョン市を叩きました。
「犠牲者はゼロで済んだから大成功なのです!
失踪(行方不明)した選手はたった7人で済みました!
さぁ!皆で拍手して、大会の終わりを締めくくりましょう!」
1万人の選手が熱烈な拍手をパチパチとやり、ようやく最悪の大会が終わった事を喜びました。
今月の18日に障害者用のパラリンピックが開催される予定になっているから、スポーツ選手達は彼らに同情しています。
このチョウセン国、障害者や外国人への差別が酷過ぎる国なのです。
チョウセン国で生まれ育った中国ヤー人の二世や三世は、大学を出ても大企業や公務員への就職の門戸が閉ざされ、チャイナタウンはこの国では規模を縮小し、彼らは海外に出る事が非常に多いんです。
人間は居心地が悪い場所には住みたがりません。
次々と外国人とチョウセン国人が海外に逃げるように出て行くのは、そういう意味なんです。
この国は、この世に存在する地獄の一種といっても過言ではありませんでした。
現に、チョウセン国のインチョン市が2200億円以上のお金を使って開催したインチョーンアジア大会2014は、世界中で反チョウセン国ネガティブキャンペーンを展開したも同然の効果を発揮しており、他の国々から悪い印象を持たれて悲惨なだけです。
インチョン市は莫大な負債を抱え込み、 地 域 経 済 ご と 巻 き 込 ん で 破産コース一直線なのです。
大会終了後、熱血コーチはジャパンヤー国へ飛行機で帰り、大きな成田国際空港の窓から空を見上げていました。
空は曇っていて、コーチの気分を反映したような感じの天気です。
コーチの脳裏には、ラッキーと一緒に過ごした熱い戦いの日々が浮かんでいます。
一年間、ラッキーが良い笑顔をよく見せてくれた事が今では懐かしく感じます。
でも、ラッキーはコーチの隣に居ません。
人生の相棒を失ったような寂しい気持ちになりました。
「・・・・・・あの国は、スポーツをする気はなかったんだな。
興味があるのは反則してでも勝ちたいだけ・・・・あんな国の大会にラッキー君を連れてきて、スポーツそのものに失望させた私は愚かだった。」
コーチの瞳から涙が数滴ポロリ。
後悔後を絶たず。
コーチの後ろには、チョウセン国インチョン市で10月18日から開催されるパラリンピックに出場する選手達が、チョウセン国行きの飛行機に乗ろうとぞろぞろ歩いている姿がありました。
おしまい
テーマ【インチョンアジア大会2014】
どれだけ大量のイベントがあったのか知りたいなら、下記のURLどうぞ。
http://suliruku.futene.net/uratop_2ch/2zi_zyanru/Kankoku_Intyon_Azia_taikai_2014.html
没ネタ
そして、空港の入り口には、ジャパンヤー国内でラッキーとバトミントンという格闘技(球技)で戦った強敵(とも)が大勢、手にシャンパン(酒)を持って待ち構えていました。
皆、平均身長2m超えが普通の化物だらけです。
「小さき勇者ラッキーはまだか!?」
「金メダルを取った事を祝福したいのになぜ、三日経過してもやってこぬ!」
「勝ち逃げは許さぬぞ!」
「私が傷心した心を慰めてあげるわ!」
●最後のネタ
・スタンドの半分は空席なのに、女子バレー韓国戦で組織委が2万6500人の観客と発表(※水増し捏造)
・【不正疑惑】競泳男子の萩野公介選手が「4日間で4回ドーピング検査に指名され血を抜かれた」
→ドーピング検査後、バスがなく足止め。眠れたのは午前1時で午前の予選は2位。疲労で「決勝はやばいと思っていた」
→それでも大会新で金メダル(400m個人メドレー)