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ゆっくり戻るよ!
エルフ娘の世にも不思議な旅

7国外目 普通の旅人の話



とある平和な人間の国に、冒険に憧れる女の子がいました。
真っ黒な髪をポニーテールにして後ろに纏めた可愛らしくて元気な娘です。
道ですれ違えば、10人中1人くらいは振り返るくらいに魅力的で惹かれるものがあります。
でも、この女の子は、16歳になった当日の朝に、父親のバイクを盗み、バイクの後ろに大量の食糧と燃料をロープでグルグルと固定し、そのまま国を出ていきました。
はてさて、旅人となった女の子は、どのような旅をするのでしょうか?






女の子は国を出て、ウキウキとした気分で、広大な平原にある道をバイクで走っています。
憧れの大冒険。
真っ青の空から降り注ぐ陽気と、草原の冷たい風の二つが心地よく思え、歌を口ずさんでご機嫌です。
銃器の類を持っていないので、悪い奴らに会うだけで抵抗できなくて人生終了なのですが、そんな事は気にしていません。
危険は承知の上なのです。

「私はぁ〜冒険家シャロン・ストーン〜
この旅を本に纏めてぇ〜有名になる〜」

今は人生の絶頂期という奴でした。
後に旅に出た事を後悔して、一生悩むそうですが、それはまた別の話。









「あ、道が分かれてる……」

女の子がバイクを走らせて、道を4時間ほど進むと、道が三つに分かれていました。

一つは険しい険しい山々へと続く道 (※オークが大量に住んでいます)
一つは深くて暗い森へと続く道 (※近付くだけで銃を撃ちまくる独裁国家があります)
一つはただ広い草原の道 (※国も何もない未開拓地域です。)

女の子には、道の先に何が待ち受けているのかの情報がないから呑気にしていますが、これは大変です。
どれを選んでも死ぬ可能性が大です。
山の道に行けば、オークの花嫁さんとして死ぬよりも酷い屈辱的な繁殖家畜生活。
森の道に行けば、良くてすぐに殺され、悪ければ拷問された後に殺されたり奴隷にされます。
草原の道に行けば、燃料を補給できないので、バイクはただの荷物と貸し、国に戻れずに死ぬ可能性があります。
女の子は、どの道を選ぶか悩みました。
まさに自らの運命を選ぶに等しい内容なのです。
問題は……どれもこれもハズレクジなので、正解がない事でした。
でも、あえて言うなら、来た道を引き返して帰るのが唯一の正解の道です。

「よぉーし!
森と山は何か居そうだから、草原の道に行こうー!
目指せ!大冒険家シャロンの旅!第一章!」

1分ほど悩んでから答えを出し、女の子は草原の道にバイクを向けて走りました。
直感で、二つの道の先に、凄く危険なものがあると判断していて凄いです。














女の子は、途中でいくつかの休憩を挟んで20時間もバイクで草原の道を走ったら、予備の燃料も全て使い果たし、ただの鉄の塊と化したバイクの横で、草原の地面に指で文字を書いてウジウジしていました。
帰ろうにも、自国までの距離が長すぎて、徒歩じゃ無理です。


「なんでこんな事に……私死んじゃうのかな。
山の道とか、森の道を選んでおけば良かった……
というか、燃料補給も出来ない場所になんで道があるのよ……ありえないでしょ……
他の人はどうやって道を使ってるんだろう……」

女の子が愚痴っていると、草原の道の先から歩いてくる小さい女の子の姿が見えました。
地面にギリギリ届きそうな綺麗な金髪を持ち、耳が尖っている不思議な女の子です。
仮の名前をラッキーという事にしておきましょう。
ラッキーの頭に妖精さんが居ますが、人間には見えません。

「あれ?
こんな所に女の子?
きっと人間の集落があるんだわ!」

女の子は生存への道が開けたと思って元気を取り戻し、ラッキーの元へと走って近づき、話しかけます。

「ねぇ!
そこのアナタ!
アナタのお家はどこ!?
私は自分の国に帰れなくて困ってるの!
助けて!」

ラッキーは首をキョトンと傾げた後に、ゆっくりと頷いて、バイクを指で指し示し

「うん、わかった。
その代わり、そこにあるバイクが面白そうだから頂戴」

「そ、それは駄目よ!
お父さんのバイクだから、後で怒られちゃう!」

「じゃ、ここでのたれ死ぬ?
私はそれでいいんだよ?」

ラッキーは容赦ありません。
女の子は、バイクよりも自分の命が惜しいので、少し考えた後に

「わ、わかったわよ!
バイクはあげるから、私を助けて!」

「うん、お願いを聞いてあげる。
えい!」

「オニャノゴ!」

ラッキーは女の子のお腹をパンチで殴って気絶させ、女の子の手を掴んで空を秒速1kmで飛び、ここから近い国の広場に放り込みました。
軍事大国の方ではなく、女の子の住んでいる国の方だったので、女の子は大助かり。
ラッキーは女の子の命を救ってあげたのです。
バイクには燃料はありませんでしたが、風の魔法でバイクを動かせばいいだけなので、燃料の問題は特にありませんでした。
ラッキーが遊びつくして飽きて捨てるまで、バイクは酷使され、天寿を全うしたそうです。








女の子は、国を勝手に出たから、両親から散々怒られましたが、全くめげません。
逆に、絶望的な状況でも奇跡的に生きて帰って来れる幸運を持っていると勘違いして、一年後に、今度は父親の車(キャンピングカー)を盗んで、また旅をしました。
今度は草原の道ではなく、山か森の道を進むそうです。

「よぉーし!
今度こそ旅を成功させるわ!
燃料も食糧も大量に詰んだし、成功間違いなしだわね!
今度は●の道を進むわ!」

山に進めばオークの花嫁。
森に進めば危険な軍事大国。
女の子の1人旅は身体が幾つあっても足りないほどに危険でした。

「目指せ!大冒険家シャロンの旅!第二章【新たなる人生の始まり】!」





















「「「「「「「「「「「「「「「「ぶひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!
こんなところに若いメスがいるブヒイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」

7国外目 普通の旅人の話
おしまい





テーマ【馬鹿は死ななきゃ治らない】
テーマ【普通の旅人の旅の難易度】

没ネタ

現実の地球には、【可愛い子には旅をさせよ 】・・・子供を甘やかすよりも、世の中の辛さや苦しみを経験させた方がいいという諺がありますが、それも場合によりけりなのかもしれません。

 

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ゆっくり戻るよ!

●全ての国家の起源、技術の起源を持つ凄い国

●見てください!異世界の四大文明を作り上げたのも私達なのです!
偉人も全部私達の先祖です!

●銃を作ったのは、私達です!
城壁を作ったのも私達です。
火を最初に発見したのも私達です。
全ての宗教を作り上げたのも私達です!

●城壁を作ったのも自分です!

●ああ!私達はなんて偉大なのでしょう!
全世界は私達に感謝して、謝罪をして賠償を寄越すべきなのです!
私達は世界一偉大な民族!


●自慢しているだけで、自分達じゃ何にもできない人達。
偉そうにしすぎて、旅人も寄りつかず、技術を教えてくれないから、中世の暮らしのまま。


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