07/前夜--魔術師はランサーと酒を飲みながら昔話をやっていた。
一回目の人生は、普通の人生であり、たまたま抱いた女性が妊娠しちゃったので家庭を築く平凡な人間さんの人生。
二回目の人生は、その死を体験したせいで生まれた直後に産んだ母親を焼き殺す親不幸者になってしまい、魔術師としての常識で理論武装しなかったら、生きていけない罰ゲーム人生だったのである。
Fateの魔術師は必要とあらば親でも殺すので、特に問題はないのだ。
問題だったのは後継者として産んだ娘が前世の愛しい娘の転生体で、セイバーとして召喚した救国の魔女【ジャンヌダルク】に人生初めての一目惚れをしちゃった事である。
そのせいで聖杯にジャンヌダルクをくべるなんて真似が出来ず、聖杯は死蔵されちゃったので家族同士で殺し合いになり、魔術師は二回目の人生で得た家族をほぼ皆殺し状態!
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「……私の最初の願いを成就するにあたって、最後の障害が自分自身である事を『彼女』は察していたのだろう。私が令呪で自害を命じられない事を。――だから、『彼女』は自分自身の手で決着をつけた……」
その選択が『彼女』にとってどのような意味があるか、『魔術師』にとって何を齎すか――当人以外に、口にする権利は無い。
「――けれども、私は『彼女』の魂を分解せずに残した。冗談じゃない、勝手な思い違いで自害しやがって。無理矢理でも一生涯付き合って貰うとも……!」
(´・ω・`)これは最終的にジャンヌたんを復活させて、魔術師がリア充になるお話さん。
間違いなく四次キャスターが激怒するわ。
08/-魔術師は誰とも共に歩めない人間さんなので、積極的に身内を捨てまくる人だった。
エルヴィは、最後に魔術師に殺害されるという主従関係。
ランサーは魔術師が死ぬと消える契約関係なので、特に何の問題もない。
だから生活基盤のない四人の幼女が激怒し、『闇の欠片事件』の本番をスタートさせちゃった。
放置しても魔都の戦力なら対処出来ちゃう程度だったが、魔術師がこの事件で隙を見せてしまったので殺害され、お亡くなりになる。 -
それは自分以外の女性の声であり、何故それが『魔術師』の背後から――何故、魔術師の胸の心臓部から誰かの掌によって、穿ち貫いているのだ?
奇怪なのは、何故その女の掌は血塗れていないのだろうか――?
「――っ!」
致命傷を受けて死相が浮かぶ『魔術師』は最後の力を振り絞って一目視ようと悪足掻きし――その神域の魔眼をもって焼き殺そうと振り向こうとし、それより先にクナイによって両眼を引き裂かれ、更に鮮血が舞う。
「あ、ああ、『魔術師』ィ――!?」
ディアーチェの叫びは虚しく鳴り響き、それで力尽きた『魔術師』は、その殺害者の腕の中に納まる。
――それは十六歳程度の少女だった。
黒髪を奇しくも『魔術師』と同じように一本の三つ編みおさげに編んだ、和風ベースの着物を羽織る小柄な少女であり、何より特徴的なのは――五芒星を模った桔梗の中心に極点が鎮座する赤い魔眼と、この世の悪意を極限まで煮詰めたような邪悪な嘲笑みだった――。
(´・ω・`)平和な後日談だと思ったら、なぜか魔術師さんが死亡してた。
な、なにを言ってるかわからないかもしれないが、後日談で死亡してた。
09/嵐の前の静けさ---魔術師が魔術工房から出たから、殺害されてしまった。
そのため、魔都中に勢力に魔術師の死が知らされ、魔術師を殺した犯人の情報を共有する事になる。
犯人は、『NARUTO』世界出身の『うちは一族』。『万華鏡写輪眼』を保有していてやばい奴だ。
目が合うだけで自動的にこちらの敗北が決定する鬼畜仕様!
完全に初見殺しだ!
しかも、早めに行動しないとパワーバランスが崩れた魔都で大戦争になっちゃう有様だよ! -
「――ええ、海鳴市の均衡は『魔術師』、『教会』、『武帝』の三竦みによって仮初めの平穏を維持してました。その一角が忽然と無くなってパワーバランスが崩れた今、我々『教会』勢力と、全ての転生者の根絶を求める『武帝』勢力との激突は時間の問題です」
『神父』は疲労感を漂わせて「状況がこうなった以上、湊斗忠道は止められないでしょう」と断言する。
――いつぞやに、『魔術師』は確かに純然なる『悪』であるが、魔都にとって『必要悪』であると理由無く感じた事がある。
(´・ω・`)そうか。この世界は紛争地帯のようなもんだから、ラスボスさんがギャルゲーヒロインになっても戦争の火種がたくさん勝手に生えてくる魔境だったよ。
10/舞台裏-神咲神那は
『魔術師』の『一回目』の娘にして『二回目』の娘、『三回目』の妹である。
今回の転生でようやく『魔術師』を倒し、魔術刻印ゲットしたが、聖杯は入手できなかった。
でも、それよりも問題なのは、転生者を大量発生させている人間さんが存在した事だった。
うちはルイの兄であり、吸血鬼になって大勢の人間さんを殺して無限転生しまくって、数々の転生者を大量発生させた張本人だったのである。
その過ちをなかった事にするために行動している。
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「無いからこそ『兄』は幾千幾億回繰り返した果ての果て、無意識と無自覚すら意識して自覚して発狂した成れの果て、『基幹世界』から幾千幾万幾億もの魂を追放して、代わりに空いた席に入る存在が事態を解決、いや、少しでも違う方向に持って行ける可能性である事に一途の望みを託して――今、この時もルイの『無限転生』が続いている事から、今尚『転生者』が無尽蔵に増え続けている事から、それが成し得られていない事は明白よね」
……言葉が、出ない。
余りにもスケールがデカすぎて、突拍子も無くて、そして受け入れ難くて――。
「――そう、ルイこそが君達『転生者』にとっての全ての元凶。ある意味究極の『被害者』であり、依然変わらず究極の『加害者』だね」
(´・ω・`)聖杯で叶えるのが難しそうな内容だ。
(数多くの世界が関連しちゃっている時点で)
--/外典- 『魔術師』が居た前のfateの世界で、
『魔術師』は不思議な奴だった。
聖杯戦争の知識を持ちすぎていて、魔術師殺しに特化して、圧勝しちゃったのである。
当時の第二次聖杯戦争は未開の地で執り行われた野蛮な儀式程度の認識しかないのに不思議だった。
という事で魔術師をアサシンとして召喚すりゃ、勝てると思った参加者が『魔術師』を英霊として召喚する気だ!--
「――我々は『彼』を『アサシン』の座に召喚する事で直ちに、魔術協会と戦うまでもなく勝利する。歴史上、中身の満ちた『小聖杯』を持つ唯一無二の存在、魔術師・神咲悠陽を召喚する事でね」
ダーニックが懐から出したのは、拳大のガラスのケースであり、その中には黒ずんだ何らかの欠片があった。
「それは、いや、それが――?」
「『彼』が終生持ち歩き、『彼』の遺体と共に灰となった『聖杯』の欠片だ」
(´・ω・`)魔術師を召喚しようとする時点で死亡フラグだわ。
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