前にゆっくり戻るよ!  ゆっくり次に進むよ!   
ゆっくり戻るよ!


核戦争による放射能で汚染された荒野に、3mのスキンヘッドの大男が眠っている。
鍛え抜かれたムキムキの筋肉に覆われた上半身を晒しており、顔は何人も殺してそうなほどの悪人面だ。
このままでは、通りがかった同じ悪人達や、善良な武装商人、モンスターの餌食になってしまうが、幸いにも彼を起こしてくれるヒロインさんがいる。
背中に羽を生やし、身長10cmほどの金髪美少女な可愛らしい妖精さんだ。


「旦那っ!旦那っ!は、早く起きないと死亡しちゃいますのぜ!」


妖精さんは大男の頭をガシガシと小さな足で蹴りまくり、妖精さんの短いスカートから、パンツが見えそうになっている。
頭を何度も何度も蹴られた大男は、頭に感じる小さな痛みのせいで目を覚まし・・・目の前に可愛らしい妖精さんがいるという現実に思考を停止した。
そして、目をパチパチとさせ、顔をずらして周りの風景を見ていると、砂漠の荒野のような荒れ果てた土地を見て、


「な、なんじゃこりゃあああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」


荒野に大男の声が響き渡ったのだった。
可愛らしい妖精さんは、その大声で気絶し、パンツが見えそうで見えないギリギリの状態である。











第1話 朝起きたら核戦争後の世界をテーマにしたクソゲーだった。

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「ヒャッハー!新鮮な人肉だぁっー!」

by この世界でよく見かける平凡な一般人
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ヒャッハーファンタジーオンライン。
それは、世紀末なスタイルをした縦髪ヘアーのモヒカン達が荒野を駆け巡り、モンスターや無力な民衆を虐殺したりする末期的な世紀末オンラインRPGである。
倫理的にも問題とされ、女の子を普通にレイプして性奴隷に出来ちゃったので、公開して三日で業務停止命令が下り、幻となったゲームだった。
先ほど出てきた大男も、このゲームをやった事があり、その時に身長3mのスキンヘッドの大男でプレーしてたので、ゲームのキャラクターに自身が憑依するという異常な事態である。
現実は核戦争と新型ウィルス、隕石、生物兵器などが原因で壊滅状態であり、ゲームの世界と似たような状況だったが、それでも大男には死亡した記憶はない。
大男が先ほど驚いたのは、地上の世界は放射能で壊滅状態のはずなので、地上にいたら超高確率で死ねるという事を理解しているからだ。


「やばいやばいやばいやばいっ!早く地下シェルターに戻らないと死ぬっ!死ぬー!!」


自身が3mの大男になっているという事実には気がついていない。
現在は命の危険を心配しすぎて、そこらへんまで気を回せないのだ。
大男は荒野を見渡し、地下シェルターは何処にあるのか見つけようとするが、見渡す限りの地平線までずっと荒野であり、時折、凶悪な異形の姿をした大型生物がチラホラと見えるだけだ。


「か、核戦争で地上はここまで可笑しくなったのかー!」


現実からゲームの世界に入っているという考えは、男にはなく、地下シェルターを見つけようと頑張っている。
そして10分ほど経過して、落ち着けるようになってから自身の身体が3mの大男になっている事に気がついて


「ほ、放射能の影響かー!」


全ての責任問題を放射能と核兵器に押し付けたのだった。
近くで気絶して眠っている妖精さんも放射能で人間が小さくなって、羽が生えたと結論をつけ、平常心を保つ事に成功する。
妖精さんの小さな身体を持って、人形をいじるようにスカートの中身を覗いたりしたが、決して下心とかはないのだ。


「・・・パンツは青と白の縞々か。」


大男は、綺麗な洋服を着た妖精さんがいるなら、近くに人里があると判断し、この妖精さんを連れて行って人里で保護してもらおうと思い行動を開始する。
一応、遥か遠くの遠くに、集落らしき影が見えるので、そこがこの妖精さんの住んでいる人里だと大男は思った。
放射能による汚染で身体が巨大化して、頭がスキンヘッドになったと思っている現在は、逆に冷静になっている。
妖精さんの小さな身体を片手で持ち、集落へと向けてグングン歩く。
前の普通の成人男性サイズの身体だった時よりも身体が好調で、目の前にたくさんの数字が見えていたりするが


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●レベル1    種族:巨人  名前 【偽りの天才 アミ○】

●装備  世紀末ズボン   世紀末シューズ  

●スキル   @虐殺クラッシュ  A虐殺キック  B虐殺パンチ  C虐殺チョップ
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「これが放射能の影響かっ・・・!頭が可笑しくなっているぞっ・・・!」


全部放射能に責任を押し付けたので無問題だ。
兎にも角にも、核戦争で荒廃した現実世界の地上だと思っている大男による世紀末なモヒカンファンタジーが始まったのである!







あとがき

(´・ω・`)ヒャッハー!
ゆっくり戻るよ!
前にゆっくり戻るよ!  ゆっくり次に進むよ!   
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