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ゲーム風スキルは異世界最強なんだよ!
二章  ゴブリン略奪共同体40万 VS 獣人50人
38話 幕間「戦功勲章式」



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化合弓を作るために、僕は無茶をした。
過程を無視して結果を生み出す『魔の法則』を使ったから、その過程を実現しなければ死ぬ呪いがかかっている。
つまり、アルミニウムを精錬する施設を作らないと僕は死んでしまうのだ。
アルミニウムといえば、昔は黄金より遥かに貴重で、王室がアルミニウム製の皿で賓客を持て成していた。
現代地球では一回限りの使い捨て金属として使われまくりだが、量産できない間は価値が高くなる……そういう金属だ。
まず、一番大事な事だが――大量の電力がないと精錬できない。
この領地で、てっとり早く運用できる動力といえば水力。
発電機とバッテリーを手作業で作って、川に水車を設置。
川の流れから電力を生み出してバッテリーに蓄電し、アルミニウムを精錬する設備を設置すれば完璧だ。

『犬さんが精錬所を作っておるお……』
『しゅごい……』

精錬設備の内容はこんな感じだ。

@電力=川の流れで水力発電でしゅごい。地球にエコ。

A高度しゅぎる部品の数々。細工スキルがないと作れない。オーバーテクノロジーすぎて他陣営にパクられない。

B機械の知識。北欧の工場のパクリ。

ををっ!なんて完璧な説明なのだろうか!
短いし、わかりやすい!
具体的な説明もしてないから、北欧の人も怒らない!
特許の侵害にもならない!

『図にするとこんな感じの精錬場だお』


     陽極(水車の電力)

フッ化アルミニウム+アルミナ+水晶石= アルミニウムの精錬完了

     陰極(水車の電力)

僕は天才かもしれない……完成品を丸ごとパクっているだけだが、無人島に文明を起こすような偉業をやってしまったぞ。
アルミニウムを高く売れば、きっと財政がウハウハだ。

「主様……この白い金属は何ですかな……?」

精錬作業を手伝ってくれたホワイトが、精錬されたアルミニウムを見て聞いてきた。
僕は胸を張って偉そうに答える。
この偉大なる金属を誇らざる負えない。薄くすれば食品を包むアルミホイル。
車体に使えば、燃費が良いエコ自動車。
軽くて丈夫という二つの特性が、とっても魅力的。

「これは……アルミニウムさ。黄金より価値がある金属」

「ああ……なるほど、確か弓に使っていた軽い金属でしたな。
こうやって作る代物なのですか、なるほど。
……本当に黄金以上の価値があるのでしょうか?
簡単に量産できそうな気がするのですが……?」

「この発電機つきの精錬設備が無ければ、どうやっても超少量しか作れない。
だから、しばらくの間は大丈夫だ……千年くらい」

「はぁ、そうですか……?
主様がポンポンッと未知の道具を量産するので、理解が追いつきませんなぁ……」

「他人がやっている作業は簡単に見える。それは、ただの錯覚だ。
普通の職人には絶対不可能だよ、こんな事はね」

『三歳児が言っても、何の説得力もない件』
『チートやない!こんなのチーターや!って誰かが良いそうだお……』

うむむ……確かに三歳児でも出来る仕事というフレーズを付けると簡単っぽく見える……。
でも、化学の知識も必要だし、機械の知識もいるし、高い技術力がないと作れないから職人が、この工場を見ても思考を停止して理解できなくなると思う……。
あとは材料が足りないな。アルミニウム1トンを生産するために、電力の他に――
アルミナ 1.96トン
氷晶石 0.07トン
炭素陽極 0.5トン
少なくとも、こんだけ材料が必要だから、交易しないと駄目っぽい……。
僅かに精錬できた少量のアルミニウムで何を作ろうか……?
今回の戦いで頑張ってくれた50人に、勲章でも作って……おお、そうだ。
折角だから、功績順に並ばせて、次からはもっと頑張って戦ってくれるように誘導しよう。
列の最後列に並ばされた奴らは、恥じるはずだ。
人も獣人も他者と自分を比較し、劣等感を感じる生き物なのだから。
これなら必要以上の敵意を買わずに、みんなのやる気を引き出せるぞ。

『犬さん、統率スキルのおかげで、とんでもない指導者になりそうだお』
『これまた酷い……』

交信術は何て便利なんだ。
携帯電話みたいに、村中にいる相性の良い獣人と連絡できるぞ。
皆ー!正午になったら村の広場に集まれぇー!
褒美をプレゼントするぞー!
参加しなかったらお尻ペンペン100回な!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


村の広場は、多数の雪だるまがある憩いの場所。
雪だるまの目玉が、木の実なのがチャーミング。経済的な上に運動もできる良い遊びだ。
冬の風物詩というものを感じさせてくれる……この実、見たことあるな。確かカカスの実か。

『犯人はモーニャン』
『雪を甘くして食べる気だお……』

なんて贅沢をする狐娘なのだろうか。お腹を壊さないと良いのだが。
えと、そんな広場に、総勢1000匹ほどの獣人が集まり、功績順に並んでいた。
一番最初の列には、僕と一緒に戦場で戦ってくれた五十人の獣人が並んでいる。
もちろん、一番先頭はブラッドイーターを倒したホワイトだ。
その後ろに赤い狐耳のモッフル、弓を扱える奴ら、投石が上手い奴、投石が下手な奴らの順番に並んでいた。
褒美を貰えると聞いて、目を輝かせて、尻尾がブンブン動いていて愛らしい。素敵な獣娘が何人か居てたまらん。モフりたい。
僕は息を吸い、彼らに向けて声をかける。

「これから戦功に応じて褒美を取らせる!
戦功第一位!ホワイトっ!」

「いやー、緊張しますなぁ……」

全身を毛皮コートで包んだホワイトが歩いてくる。白い獣耳が周りの光景に合っていて美しい。
言葉とは裏腹に、自信満々に僕の所まで歩き、そして立ち止まった。

「ホワイトっ}君は名将ブラッドイーターを倒し、モフモフ村を守った功績は非常に大きい!
モフモフ狼勲章を授与する!
老後になったら年金が受給される!」

『ちょまてwwww』
『獣人に老化現象ないから、老後なんてないぞwwwww』

……千歳突破したら、年金出してもいいかなと思った。
僕はアルミニウム製の狼勲章を……背丈が三歳児だから、このままだと十歳児のホワイトの胸元に付けられない事に気がつく。
だが、問題ない。背丈が足りないなら――飛んで、瞬時に勲章を付ければ良い。
一瞬、ポヨンッと小さな胸を触ってしまったが、尻尾派だから許して欲しい。

「……これまた高そうな勲章ですなぁ。きっと、黄金より価値がありますなぁ?」

わざとらしい口調で、ホワイトは小生意気に微笑んでくれた。
……色んな意味で意味深なセリフだ。
事前に、どういう勲章作るのか見せてしまっただけに。
好きな人から貰ったから、とっても価値がある。そんな風に聞こえて僕の顔が熱い。
……あとで尻尾をたくしゃん、モフモフして調教してやる……!

「つ、次にモッフル!前へ!」

鼻歌を歌いながらホワイトが去り、モッフルが歩いてくる。
目の前にいる僕より、背後にいる獣娘達の視線が気になって、大きな赤い尻尾がぶんぶん動いていた。
皆の目線が優しい。尻尾って最高だな。こいつ男なのにモフりがいがありそうだ。
僕はモッフルのために用意した特製プレゼントを渡す。

「モッフル!妨害工作で大軍を足止めした功績により、特注の化合弓を下賜する!
これで弓矢の訓練に励むように!黄金より価値があるから盗まれるなよ!」

「お、俺……もっと頑張るよっ!
さすがワァンの旦那だ!この弓は大事にするよ!」

「矢は勿体ないから、訓練の時は可能な限り再利用するように」

「……え?」

「矢の生産コストが馬鹿にならないから、訓練や狩りに使った矢は回収して再利用するように。
金が足りなかったら、この狐勲章を売れば大金が手に入る。だから練習を頑張れ。
頑張れば、もっとモテモテになるぞ」

「えぇぇぇぇぇ!?訓練する費用は俺持ち?」

「黄金より高く売れる金属だから、買い叩かれるなよ」

「ちょおま――」

「つぎぃー1もにゃにゃー前へー!」

僕はモッフルの抗議の声を遮り、勲章授与式を問題なく進めた。
残りの48人に、鉄クズで作った勲章を授与。

『ランクダウンしすぎだお!?』
『化合弓にアルミを使いすぎたんだっ……!』

お詫びに、略奪品から良い食料品を優先して渡す権利をプレゼント。
弓兵として頑張ってくれる事を期待して、後で弓を支給する事を約束した。
矢の費用はモッフル持ちである。アルミを売れば49人分くらい賄えるはずだ……そんな経済規模を持つ市場、この村にはないけどな。

『モッフルが苛められている件について』
『ひどいお……』

後は大雑把に勲章授与式の様子を語ろう。
戦場で料理してくれたモーニャン達には銅の勲章。
戦略輸送部隊の皆には、勲章なし。略奪した食料が尽きるまでの間、毎日、家族分の食料を貰える権利をプレゼント。
居残り組には、何にもなし……でも、女が多いから、夫や子供の収入で、冬は贅沢に暮らせる事だろう。
わざわざ列に並ばされたから、貰えると思っていたようだか……何も貰えなくてガッカリして、獣耳が元気を失い垂れていた。
きっと、次からは兵士として志願してくれる奴が激増するに違いない。
僕の指揮下に入れば、1人の犠牲もださずに圧勝できると信じてくれたら、しばらくの間は大丈夫だろう。

「以上を持って、戦功勲章式を閉会する!」

不思議な事に、授与式はたったの1時間で終わった。
うむう……勲章を実際に授与したの百人だけだし、残りは大雑把に食料を受け取りに来いよって言っただけだから、超短時間で終わってしまった。
もう少し……長く並ばせて、羞恥心を感じさせた方が良かったかもしんない……。
でも、戦略輸送部隊には勲章を授与しなかったし、今度からは勲章欲しさに、前線に出てくれる。
そう思おう。
誰だって、勲章つけて堂々と調子に乗りたいだろうしな。
戦場では……俺は英雄だったんだぜ?って、酒場で語れて良い持ちネタになるし。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


授与式が終わって解散すると、新しい住民となったナズニャンが話しかけてきた。
この猫娘はとても不満そうだ……家を丸ごと燃やしたから、当たり前といえば当たり前だが。

「なぁ?うちには何かないん?
家を焼いた特別賠償とかないんか?」

「……略奪品を横領して、途中から村で家の建築ばっかりやっていたから却下」

「な、なんで分かったんや!?」

「代わりに、お尻ペンペン100回の刑に処す!」

「む、村を焼いといて何て酷いガキや!」

なぜだろう。この猫娘は尻尾が細長くて、そんなにモフモフしてないのに……会話していると落ち着く。
夫婦漫才をやっているような謎の安心感に支配されそうだ。
好みの尻尾じゃないのに悔しいっ……!

「じゃ……家を建築する刑に処す!」

「……な、何かないんか?
ほら?アルミニウムって高く売れて黄金より価値があるんやろ?」

「……ナズニャンの今後のご活躍をお祈りします」

「失敗した就職面接か!?」

「それにほら、ナズニャンは戦士じゃなくて商売人だろう?
なら、良いじゃないか、これから商売やれば儲けられてウハウハだよ……」 

村にそんな市場ないけどな

「貰える物は貰っておくのが商売人やがな!」

「うーん、そうだなぁ……。
ああ、そうだ。川をせき止める堤防を作る仕事はどうだろう?」

「くれるのは仕事か!?」

「川をせき止めれば、水力発電にも使えるし、工夫すれば高級魚の養殖もできるし、畑への水やりも出来てウハウハだし、南側からやってきた船を水で押し流して壊滅させられるから、応用が効いて便利なんだ」

「それ!すごい利権やんか!
分かったで!うち、その仕事頑張るわ!
魚の養殖利権はウチが貰うで!ええな!」

「ああ、いいよ。
村に産業ができるのは良い事だ。
ぜひとも頑張ってくれ、ナズニャン」

『一部の策が、堤防壊す事を前提にした策な件について』
『うむ……戦争になって敵軍が船を使ったら堤防壊しますよ……って言ってるな……』

……丸太を川に流せばワンチャンス……
ごめん、ナズニャン。出来る限り堤防は壊さないけど、必要になったら壊すかもしれない……


★(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚)堤防を作る労働力は?

●(´・ω・`)獣人、めっちゃパワフルな種族じゃし。
1人で50人分の労働させればええじゃろ?

★(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚)過労死させる気か!?

 


【内政チート】「馬車はウンコを量産するからやばい」自動車発明前
http://suliruku.blogspot.jp/2016/08/blog-post_838.html

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10 件のコメント :

  1. (´・ω・`)見づらい画面で書いたから、後でゆっくりじっくり、最終修正するお

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  2. 面白いんだ!おもしろいんだけど、ノリが軽すぎてなんか違和感があるんだ!

    内容は結構えげつないのに合間合間のもふもふとかモッフーとかですぞwwwwwwとかのせいであまりのめり込めないんだ!

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    1. (´・ω・`)そ、そんな……!
      モフモフという健全な要素が、逆にデメリットになっている……!?

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  3. パルメはシリアス書けないから…

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  4. 電気の缶詰って…
    油圧とパッキンないとまともな発電所出来ないんだぜ…

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    1. (´・ω・`)缶詰はコストが高いよう(´・ω・`)

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  5.  ローマ帝国は、水力を利用した大規模な製粉工場を作ってたそうです。
     
     バルブガルの水道と水車群 1日。4.5トンの小麦粉を生産。
     パンでしたら1万個分。アルミ作るより、こっち作った方がいいのでは。
     獣人でも食わないと死ぬ。

     弓矢は黒曜石をどっかから掘って矢じりにするとか。

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    1. (´・ω・`そのチートは、支配する領地が増えてからやった方がええのう。
      ゆっくり、4章の幕間ぐらいでやる事にするお

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  6. 個人的に思うんだが有るみ作る位なら
    ダマスカス鋼つくった方がまだ可能性ある気が
    耐腐食性と高強度を誇る金属の鍛造なら
    溶鉱炉で溶かしきっての加工よりハードル低い気がする

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