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ゆっくり戻るよ!

数百匹単位でコボルトが住む居住区を一週間で30ほど潰した俺達は、食の神に膨大な食糧を預かってもらい、移動している間も飴玉舐めて気分爽快な状態だった。
全力で疾走しながら体力が回復しているのである。
神々の食材はこれほどに素晴らしい効能を持っていて便利なんだ。
まぁ、食べている間しか効果がないから、戦闘中はよく舌を噛んで痛いという問題点があったりする。
戦闘中の食事行為はメリットとデメリットがあって難しいんだ。

俺達の次の目的地は、このダンジョンを出て、地上から全ての階層に行ける場所・・・・・・ダンジョンエレベーターに乗るためだ。
この超大陸スイーツは浮遊しているせいか、大地が地上までなくなっている場所があり、そこを利用して、どの階層にもいけるように作ってあるんだ。
昔、全ての階層に階段を作って繋げようと提案した馬鹿がいたらしいが、それを実行すると全階層が最終階層のモンスターだらけという事態になるんで、絶対に誰もやらない。
エレベーターなら、途中でロープを切断すれば、モンスターごと地上へと落として始末できるから、リスク管理もしやすいのである。








「・・・・・・俺の両親が死んだ場所か。」

ダンジョンエレベーターの入口へと来た俺とムラサメちゃんは、1000人は入れるであろう巨大な金属の箱を見ている。
冒険者の1割はこのダンジョンエレベーターで死ぬという統計が噂であるそうだが、俺の両親が実際に落下して行方不明になっているから、ありえそうだと思った。
ロープは1本しかなく、ただ真っ直ぐ下に降ろす事と、上にあげる事しかできない構造だ。
途中でエレベーターを乗り変えて、行きたい階層に行く仕様になっている。
俺がダンジョンエレベーターを見ながら、両親の思い出や、その武骨な作りに感じいっていると、ムラサメちゃんが俺の服の裾をクイクイっと掴んで

「主殿、久しぶりに風呂と武器の整備をしたいので、今日の探索はやめませんか?」

一週間の間、ずっとコボルトの血を浴びまくる生活をしていたせいで、俺達の全身は真っ赤色で腐った肉のような匂いを醸し出している。
周りの兵隊さんや、探索者が俺達を臭そうに見ていて恥ずかしかった。
でも、ムラサメちゃんと家に帰ってから、風呂でイチャイチャして最高だった。おっぱい。















第3話  第二階層使用不能











な、何を言っているかわからないかもしれないが、翌日にダンジョンエレベーターで二階層の近くの崖まで直接行ったら、内部に二階層へと続く道がある要塞で通行止めをくらった。
エレベーターが空中で何度も揺れて、心臓がドキドキバクバクして緊張する思いでやってきたのに、兵士達が通してくれない。

「二階層は軍隊による一斉駆除期間中だっ!通ったら駄目だっ!軍の邪魔になるっ!」
「中にいる兵士達は女に餓えているっ!そんなに可愛い彼女と一緒に入ったら、どうなるかわからないぞっ!」
「入るなら美少女は置いていけ!貴様が死んだら代わりに面倒をみてやる!」
「職業は無職の王だと?このゴミめっ!命知らずなのかっ!さっさと就職しろっ!」
「就職しろっ!」
「就職しろっ!」

一斉駆除。それはモンスター達の道具作りなどの技術を向上させないように徹底的に虐殺して設備を破壊し、技術力を低下させるための大量虐殺である。
第一階層だと、そこで安全に生計をたてている連中が多いせいか、大陸各地から広大すぎる一階層へと行って毎日一斉駆除状態なんだ。
しかし、二階層以降に潜る探索者の数が激減するので、二階層以降は道具の発展を阻止するために軍隊が一斉駆除をやっているんだ・・・・って、一階層で生計をたてている女探索者達に昔教えてもらった。おっぱい。

兎にも角にも、二階層に潜れない。
かといって、俺のハーレム道のためには、一階層よりも深い階層に潜らないと残った時間でマッハに対抗できるくらいに強くなるのは難しい。
なら答えは一つだ。

「三階層を探索しよう。」

俺がそう呟くと、ムラサメちゃんに刀の鞘で頭を殴られた。少し痛い。
ムラサメちゃんが冷たそうな視線でこっちを睨んでいるから可愛らしい。

「主殿。拙者の意見をはっきりここで言います。
拙者は・・・・・主殿のハーレムのために二階層を飛び越して三階層の探索なんて出来ません。
ここは一斉駆除が完了し終えるまで、一階層で狩りをするべきです。」

ムラサメちゃんに反対された。
俺のことを心配してくれるのはありがたいが、ハーレムまで反対されて心が辛い。
そんな風に俺が悩んでいると、新しいエレベーターが二階層へと降りてくる。
その中から、マッハと同じか、それ以上だと思われる実力者達が200人ほど降りてきた。
というか、マッハが普通にいた。
相手もこちらに気づいたのか、大笑いしながら

「ふははははははははっ!俺様に幼馴染を奪われた無職がここにいるぞっ!無職っ!無職っ!無職ぅっ!」

相変わらずの無職連呼で俺の心が痛い。
しかも、マッハは周りに可愛らしい美少女・美女達を20人くらい侍らしていて羨ましい。
どの娘もムラサメちゃんみたいに可愛い娘ばっかりで素敵だ。
俺が実現しようと思っているハーレムを奴は既に実現しているのが悔しい。

「羨ましいかっ!
このおっぱいボインボインの巨乳美少女ハーレムをっ!
・・・・・ふはははははははっ!!
イブキもこの中に加わって、俺様のハーレム21号となるのだぁっー!悔しかったら跪ずけっ!絶望しろっ!そのサムライ美少女も差し出せぇっー!おっぱいっー!」

なんて羨ましい。あれだけの美少女達とエッチな事をしているのか。
俺の隣にいるムラサメちゃんなんか腕をプルプルして激怒しているくらいに凄いハーレムだ。

「主殿っ!あの男は最低ですっ!
複数の女性と同時に付き合うどころか・・・・・あれだけの数の女性と付き合って新しい女性を求める心は認められませんっ!」

「・・・・・・ああ、俺もハーレムはせいぜい3から4人くらいに抑えるつもりなのに、桁が一つ違う数のハーレムは凄いと思った。」

怒ったムラサメちゃんに刀の鞘で頭を殴られて、頭が痛い。
マッハは俺達が夫婦漫才をやっていると、興味を失ったのか、三階層へと降りるためのダンジョンエレベーターの方へと移動しようとしている。
奴は去り際に

「無職は暇でいいなぁっ!
俺様は美少女達を抱くのと、ダンジョン探索で忙しくて仕方ないぞっ!ふははははははっ!
せいぜい俺のハーレムを見て羨ましがって後悔するがいいっ!
イブキは俺が音速の速さで全てを愛し、俺の物にしてやろうっ!」

その言葉に俺は悔しさを感じた。
拳を強く握り、殴りかかるのを堪える。
あんなに大量の美少女と付き合っているのに、俺の大事な幼馴染を奪うとか鬼畜すぎて、奴の頭を握力で潰したい。
ムラサメちゃんはそんな俺を心配したのか、服越しに豊かな胸を俺の腕に当ててきて

「主殿っ!あんなゲスな男にイブキ殿を渡してはなりませんっ!
拙者はイブキ殿の事はよくわかりませんが、あの男は女性をコレクションするための道具か何かだとしか思ってないように思えますっ!」

「ああ、俺もイブキは奴には渡したくない。
イブキみたいな・・・・・・家庭的で巨乳の可愛らしい巫女さんを奪われたくないっ!」

また鞘で殴られた。
ハーレムに賛成なのか、反対なのかどちらなのだろう。おっぱい。
とりあえず、三階層に潜る事には賛成なようなので、俺は幼馴染を取り返すためにもダンジョンエレベーターの方へと向かった。








ダンジョンエレベーターの中は、巨大な四角の部屋が一つしかない。
つまり、マッハ達も俺達も同じ部屋で同席という事になる。
二階層から三階層へと向かうのに、10分くらいかかり、全員が暇つぶしを兼ねて神々の食材をむしゃーむしゃー食べている音が響いていた。
さすがのマッハも、ここで俺が無職だという事を馬鹿にすると、周りからうるさいと言われるせいか無言である。

なんて重い雰囲気なんだ。俺はムラサメちゃんの胸を揉んで暇を潰してみた。
頭を鞘で全力で殴られた。凄く痛い。おっぱい。
マッハの馬鹿も俺の真似をしたせいで、可愛い女性達に殴られてボコボコにされている所が爽快だった。
人前でセクハラはいかんのだよっ!セクハラはっ!
後で、イブキの母親にもちくってやる。バーカー、バーカー。
無職になってしまえっー!俺のようになっ!





・゜・(ノД`)・゜・。 心の中でマッハを馬鹿にしたら、俺の心が辛くなった。なんで俺は無職なんだ。
・゜・(ノД`)・゜・。 俺も就職に成功していたら、マッハと同じようにハーレム築いて、仲良くやれたかもしれない。

(゜∀゜)涙を流したらムラサメちゃんに慰められたっ!ヘブン状態っ!









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