エルフの生活とは退屈な物だ。森とともに生き、樹を守り、その数十万年の長い人生を森とともに終える。
私はそんな生活が嫌だった。だから、森を抜け出し人間の町へと行ったんだ。
その過程で病原菌で壊滅する村や、襲ってくる山賊、獣とかいて、とっても新鮮だった。
現在も、街についてすぐに両手に縄をかけられ、首輪を嵌められ、服を脱がされそうになったりして新鮮で楽しい。
これから奴隷競売とやらに掛けられて、売却されるそうだ。
【駄目でしょぉぉぉぉぉっ!!!!!!
一応、女の子なんだから少しは抵抗しなきゃ駄目でしょぉぉぉぉぉっ!!!!
その首輪がうざくて、中途半端にしか守れないから大変なんだよっ!】
この声は、私とともに育った風の精霊さんだ。
人には見えず、エルフにしか見えない。外見は人間の女性の頭がそのまま浮いているような感じだ。
弓矢の攻撃や、病原菌、水や食料の確保もやってくれる素晴らしい親友なんだ。
眠っている間に山賊に襲撃されて犯されそうになった事もあるが、その時も活躍していて新鮮で楽しかった。
人間の首を斬って、ドバドバーっと出血多量で死なせている光景は楽しい気分になった。
金髪のストレートヘアーの手入れもしてくれるから、生活全般の事を全部任せている。
【小さい頃から過保護に面倒見すぎた結果が、この生活無能力者な有様だよ!】
第一話 ブラック株式会社【冒険者ギルド】へようこそ!
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不法入国者に人権などないっ・・・!くかかかかかかっ・・・!
だが、私は優しいっ・・・!チャンスをくれてやろうっ・・・!
働くチャンスをくれてやるっ・・・!
by 冒険者ギルド長
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拘束されて捕らえられた私は、賑やかな場所へと連れて行かれようとしている。
着ている白い絹のローブは、風の精霊さんの防御のおかげで脱がされなくて安心だ。
【大人しく付いていくなぁっー!
奴隷として売却される意味をわかっているのぉぉぉぉぉっー!??!?】
よく分からない。だが、新鮮ならそれでいい。
森での死んだような生活と比べれば楽しいものだ。
精霊さんがいれば、命くらいは守れるだろう。貞操は森を出る前に幼馴染で捨ててきたから問題がない。
【私が居る事を前提に計画をたてないでねっ!?
現に首輪のせいで、中途半端にしか力を発揮できないから困っているんだよっ!?】
目に映る光景はどれも新鮮だ。
大きな広場で大勢の人間の男女が裸のまま拘束されて、次々と運ばれている。
木製の台の上に黒いスーツとやらを着ている男が、売る先を決めているらしい。
男の前方に綺麗な服を着た偉そうな人間達がたくさんいるから、購入しているのは彼らだろう。
「今日はエルフの奴隷が入ったから最後の競りまで残ってくれると嬉しいよっー!
金髪の美しい女の子!妾にするのも、娼婦にしてもお買い得なのは間違いないっ!
罪状も不法入国だけだから軽いよっー!」
場が盛り上がった。
エルフは人間にとって高い価値があるらしい。
【当たり前だよっ・・・!精霊に守られているのに、自分から捕まる間抜けなんて珍しいからねっ・・・!
ラッキーには速く逃げて欲しいよっ・・・!
これ以上、厄介な物を付けられたら人生終わりだよっ・・・!】
風の精霊さんがそう言ってるが、死んだように退屈な日々に比べれば満足している。
私は新鮮さが欲しくて、ここまでやってきたのだ。
この人間社会での生活は1000年の時に勝る物があると確信している。
貞操とやらも既に捨てたから大丈夫だ。
・・・・1時間もすると、他の奴隷は全て売却された。
途中で脱走した奴隷が鞭に打たれて、背中から血をドバドバ流したり、家族が別々の場所に購入されて引き離されたりと悲劇に満ちている。新鮮だ。
奴隷は、木製の台の上に立ってから競売にかけられるので、私は自ら進んで台の上まで移動する。
そうすると、私が服を着たままなので広場から
「脱げっー!」「他の奴隷のように脱がせろっー!」
「裸が見えないと商品価値がわからんっー!」
客の人間達からの罵声がきた。
人間は大きな胸が好きなそうだが、私のような貧乳にも興味があるらしいから不思議だ。背も150cmくらいしかないから子供にしか見えないはずなのに可笑しい。
黒いスーツの男が脱がそうと服に手を伸ばすが、風の精霊さん防御がある。
電流を流していて、触るだけで痛い防御らしい。触れたら痛すぎて死ぬレベル。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」
男が真っ黒こげになって、地面に倒れた。
これは痛そうだ。心臓もたぶん止まっている。
お客の人間達も、驚いているようで楽しい。森にいた頃は、平和すぎて退屈だった。
【まだ無駄な人間を殺してしまったよ!
ラッキーは少しは罪悪感をもって欲しいね!】
少しすると、代わりの黒いスーツの男がやってきて、何事もなかったように競売を開始した。
銀貨10万枚でスタートし、値がどんどん上がっていく。
こんな触れるだけで相手を殺せる女を高値で購入するとか・・・・なにそれ楽しい。
人間の考える発想は、私には斬新すぎて気分が良い。
「100万っ!」「倍っ!200万っ!」
「1000万っ!くかかかかかかかっ・・・!
小さい投資は無駄っ・・・!圧倒的な投資こそが最強の攻撃っ・・・!」
お客の中に可愛らしい銀髪の少女がいる。エルフのように肌が真っ白で、、紫色のゴズロリ服とやらを着ている。
頭から角が2本生えていて、外見そのものが新鮮な人間だ。
先ほどの1000万もこの娘が言ったようだ。
【あれは魔族だよっ・・・!エルフ並に寿命があって、魔界に住んでいる化物だよっ・・・!
こんな基礎的なことも知らない娘になる時点で駄目すぎるよっ・・・!
過保護でごめんねっ・・・!】
どうやら、あの娘に飼われるみたいだ。
買われると飼われる、なんちゃって。
「銀貨1000万で決まったぁっー!
冒険者ギルド長のお買い上げっー!」
購入された事で首輪が別の首輪に交換されるらしい。
私を購入した女の子の傍にいた黒服の人間が、首輪を交換してくる。
逃げる最大のチャンスだったが、あの娘の事が気になるので何もしない。
【少しは世間の厳しさを教える必要があるねっ・・・!
明らかに馬車馬のように働いても返せない金額だよっ・・・!】
首輪の交換が終わった。今度の首輪は風の精霊さんが少しは活動しやすいようだ。
私から流れてくる力とか、そんなもので風の精霊さんが動いていると、今更ながらに気づいて新鮮な気がする。
この首輪をプレゼントしてくれた女の子の方を見ると、歩いて近づいてくるのが見えた。
身長150cmの私よりも頭一つ分だけ小さくて可愛らしい。角が生えていて斬新でキュート。
そんな可愛らしい娘が口を開いて
「くかかかかかっ・・・!貴様の事を歓迎しようっ・・・!
我が冒険者ギルドのEランク冒険者として働くが良いッ・・・!
だがっ・・・!だがっ・・・!無能はいらぬっ・・・・!
正社員であるっ・・・!Aランク冒険者に1年以内になれっ・・・!
なれなければっ・・・!肉便器っ・・・!寝る時間以外はエルフを産むエルフとして生活してもらうっ・・・!
女として生まれた事を後悔させてやる事をっ・・・!冒険者ギルド長として誓ってやろうっ・・・!」
こんな小さい娘が、エロイ言葉を連発するなんて、外の世界は未知と楽しさに溢れている。
1000年に1人産めばお盛んだと言われる私達を繁殖奴隷にしようとする発想が新しいと思う。
とりあえず、そのAランク冒険者とやらになってみるとしよう。
【過保護に育てすぎた結果が、この緊張感のなさな有様だよ!】
あとがき
(´・ω・`)ヒャッハー