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パルメさんに理不尽に殺された私は報復を決意した。
パルメさんの家が何処にあるのかは既に知っている。
なら、その家に皆で押し掛けて、パルメさんが溜め込んだ金銀財宝・レアアイテムを全て略奪して、一族を強化しようと思った。
決して、これは私怨ではない。カタツムリの全ての命運をかけた大事業なのである。
パルメさんは、犯罪者だからガードを雇えない事も承知済みで楽とか、そんな事ではないのだ。
目撃者を全員殺害すれば、泥棒じゃないから犯罪じゃない。
殺人をやった分の罪は、依頼を数回やって返せば楽勝だ。
そもそも悪人から物を奪って何が悪いのだろうか。
人間の子供の肉を朝飯代わりにむしゃーむしゃー食べながら、私はそう思った。

 

 

 

 

 

Elona 二次創作  
第3話   ナンバーワン冒険者の家は怖いお。

 

 

 

 


300匹の精鋭カタツムリ達が馬に乗っている。
とってもキュートで逞しい殻をしている同族を見るだけで元気が湧くようだ。
皆、子犬の洞窟(超初心者向けダンジョン)くらいなら平然と踏破できる猛者っ!
1000匹に1匹くらいしか到達できない強さに到達した精鋭なのだ。

「「「「「「きゅっー!きゅっー!!」」」」」」」

私と比べれば、遥か格下だが、数の暴力は全てを凌駕すると私は思っている。
いざ行進っ!
私とティラノ君で積極的に先頭で戦えば、被害を受けずに目的地まで到着できるはずだ。
もしも、パルメさんが家にいたら、友達の振りをして訪問した後に、帰ればいいと思う。
まさにパーフェクトプラン。私は名軍師。

 

 

 

 

 

 


300匹の馬に乗るカタツムリの大進撃。これこそがカタツムリの武力の象徴のように私は思える。
この大軍を前に山賊団すら目の前に現れない。
きっと、我らの天敵の清掃員すら恐怖して逃げ出すに違いない。
そう思いながら数日の道程を楽々と突破し、死んだのは酒の飲み過ぎでゲロを吐き過ぎて、餓死した馬鹿だけだった。
パルメさんの家は、王都のすぐ近くの草原にある。
血のように真っ赤で荘厳な城をデンっ!と構え、全くの無警戒だ。
きっと、中には国宝クラスのアイテムが眠っているに違いない。
冷蔵庫の中に、どんな美味しいご飯があるのか気になる。
そう思うだけでワクワクしてきて大変だ。

「「「「「「きゅっー!きゅっー!!」」」」」」」

中にいる目撃者は全員殺して食べてしまおう。
この圧倒的な数の暴力によるスーパーウルトラフルボッコ略奪タイムを始めようっ!
私は全軍の先頭を全力で進む。
それに釣られて、300匹の精鋭が動き出した。
城の巨大な扉をティラノ君の突撃でぶち開けると・・・・・・中には堀が広がっている。
とっても不思議な構造だ。
紅い絨毯が敷かれ、全ての部屋が吹き抜けの構造。
目の前の広場には、果実のなる木が幾つもあり、とても高級そうな家具(ボスチェア)が並んでいる。
羨ましい。自宅にいながら釣りができそうな家だ。
これから重い物を除いて、全部略奪できると思うと、私も精鋭カタツムリ達も眼をピカピカ輝かせて、ワクワクするしかない。

 

・・・・・・・・なぜだろう。広場の階段付近にいる女性から恐ろしいほどの殺気を感じる。
この歴戦の勇者っ!である私が恐怖を感じるほどの殺気だ。
女性は白いローブを身に纏い、美しい黄金のような金髪を持っていた。
まるで神様のような神々しさを感じる。
なんか、背に天使っぽい羽が生えていた。

「うみみやゅっ!きもいっー!
カタツムリがたくさんいてキモいっー!」

まさかっ・・・!これはパルメさんのペットなのかっ・・・!
これがナンバーワン冒険者の実力っ・・・!?
私は相手の恐ろしいほどの実力を感じ取って、幸運の神様に心の中で祈った。
こうなったら幸運を期待して、パルメさんの友達の振りをするしかないっ!
お土産代わりに、人間の子供の肉の燻製をバックから私は取り出し、可愛らしく差し出した。
この美味しそうな人肉を見れば、きっと友達だと勘違いしてくれるはずだ。そうに違いない。
精鋭カタツムリ達も私に倣って、人肉、猫の肉、猫の肉、猫の肉、猫の肉、猫の肉をだした。
食べたら犯罪なので、いつもクーラーボックスに非常食として残っているゴミである。

「うみみやゅっ!猫さんを殺すなんてひどいっー!
こんな邪悪なカタツムリには天罰を与えてあげるね!
うみみゃぁ!」

あれ?城の敷地の全てを包み込むような巨大な雷が落ちてきたような・・・・ぎゃあああああああああああああっ!!!!
いだいいいいいいいっ!!!!!!!
信じられない程にいだいいいいいいいいいいいいいいっ!!!
ごんなカミナリは初めてだああああああああああああっ!!!!
とろけるうううううっ!!!!!!!!!!!!!!
あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”

 

 

 

 

 

 

 

 


精鋭カタツムリが全滅してしまった。
彼らを蘇生させるための費用なんてないから、死んだままだ。悲しい。
ペットだけは、蘇生費用が格安だったが、馬は譲渡済みだったので私のペットじゃない。
今日も嫁に説教されて怒られた。グスンッ。
カタツムリは所詮、カタツムリなのだろうか?
たった1人の人間の女性に、私達は瞬殺されたなんて認められない。
ペットにすら敗北するなんて屈辱だ。ビクンビクンっ。


・・・・・・とりあえず、あの女性とパルメさんには二度と出会わない事を祈って、幸運の神様に腐った魚を献上した。
腐った魚でも喜んでくれるから、私はこの神様が大好きだ。

【うみみやゅっ!こんな美味しそうなお魚さんをくれるのっ?るのっ?
私、嬉しいっー!あなた大好きっー!】

幸運の女神様からの電波を私は受信した。
姿形は見た事はないが、きっと素晴らしい神様なのだと私は思う。
この声を聞くだけで明日も頑張る気力が湧いてくる。

【毎日、魚をくれる君が好き好き好きっ!だいすき!君とは死ぬ瞬間までずっと一緒だよ。だよ!だよっ!だよっ!】

 

 



●幸運の女神エヘカトル    パルメが召喚したまま放置している神様。侵入者が発生すると自宅にいる全ての存在を皆殺しにする超必殺技『うみみゃぁ!』をやってくれる。
敵も味方も一人残らず確実に全部死ぬ。
≪貴重な願いの魔法で普通に神様を召喚できる世界観≫

 


あとがき


(´・ω・`)幸運の女神様の可愛らしさはナンバーワン。


 

 


 

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