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「こうなる前に手を打てればよかったんだが、気づいたら周到に用意されてしまっていてね……。シーローン王国が滅んだことで、安心してしまっていたんだろう。人は『邪魔』って理由で誰かを殺そうとするものだとわかっていたのにね」
そこまで説明した後、父は僕を見た。
「でも、口出しにくいというのは、あくまで、俺の立場での話だ。お前が友人として、一人で駆けつけるというのなら……それは個人のことだ。誰もノーとは言わないだろう。だからむしろ、お前がパックスの所に行きたいというのは、助かるぐらいだよ。ジーク」
ああ、そうか。
同じなんだ。
父にとっては、サリエルとの結婚も、パックスを助けることも、同じなんだ。
父はその気になれば、僕に「パックスについて助けてやれ」と言うことはできたんだ。
でも、父は僕に言わなかった。
「サリエルと結婚しろ」と言わなかったように。
父という権利を使って、僕に背負いたくない重荷を背負わせないように、してくれたんだ。
「でも、いいんですか? 本当に?」
そのことを再確認するように、僕は聞いた。
父はもちろんと言わんばかりに、頷いた。
「ああ、でも俺から大々的な支援はできない。お前が俺の息子でも、それは変わらない」
「そうじゃなくて、僕が行ったら、パパが王竜王国から何か言われるんじゃないんですか? 個人とはいえ、僕、これでも一応、北神流の北王ですよ?」
「まー、少しは……いや、でもなジーク。それをお前が気にすることは無いんだ」
父はそこで、エールをやや多めに飲んだ。
そして、口元を拭って……いや、拭う振りをして口元を隠しつつ、少し恥ずかしげに言った。
「パパが守りたいのは平和でも関係でもなく、お前たちなんだからね」
その言葉の意味を、僕はうまく理解できなかった。
でも、ニュアンスは伝わった。
「パパのことなんか気にするな。なんだったら、お前はパパの敵になったっていいんだ」
「パパの敵には、なりたくありません」
「そりゃ、敵になることは不幸だし、避けたいよ……でもな」
父は最後の豆を食べ、エールを飲み干した。
もう、顔が真っ赤になっている。
「もし、やりたくもないことを毎日やっていて、ある日パックスの訃報を聞いたら、お前は一生後悔するぞ。もう、二度と立ち直れないぐらいにな。それは、パパの敵になるより、ずっと不幸なことだと思う。パパは、お前に不幸になってほしくない。それはパパがお前を守れなかったってことになるからね」
つまり、パパは僕に自由にしてほしいんだ。
そして僕は、自由にしていいってことだ。
じゃあ、いいのか。
僕は、パックスの所にいっても、よかったのか。
最初から、良かったのか……。
「……わかった。パパ、ありがとう」
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(´・ω・`)子供を立ち直らせた結果!
返信削除息子(´・ω・`)独立国家を建国するどん!
ルディ(´・ω・`)すげぇ
>お前が友人として、一人で駆けつけるというのなら……それは個人のことだ。誰もノーとは言わないだろう
返信削除いや一族の誰かがやらかしたら個人じゃなくてその一族の責任じゃない?
自分でそいつを討伐して始めて一族の意思ではなく個人の暴走ですって弁明できるレベルで。
親に絶縁状叩きつけて出奔してればワンチャン?
ルディ(´・ω・`)そんなー!?
削除この言い分が通るなら、実家の財産持ち逃げした息子が傭兵雇って村を略奪しても、実家は大して責められないってことになるから。
削除引用部分だけ読むと、息子に説明してないだけで何やってもケツ持ちしてやるって事だと思うけど
削除なお自身の父親は即座に敵対してヒロインとの依存関係を矯正しにかかってきた模様(当然ヘイトは凄いことになったけれど)
立場が違うし子供の数が違うし何より性格が違うのだから仕方ないのだけれど