内容（「BOOK」データベースより） とりあえず田中は異世界に転生した。現世で死んだままの、ブサイクなおっさんの姿で。神様には超絶イケメンの姿を望んだのだが、無慈悲にも断られてしまったのだから仕方がない。悲しむ間もなく、回復魔法チートだけをもらいこの世界を生きていくことになった田中。しかし街に入ろうとすれば、門番に不審者扱いを受け投獄され、出会う女性にはことごとく冷たくされる始末。それでも田中はめげず、エロ妄想を糧に異世界を満喫しようとするのだが…。『なろうコン大賞』受賞の問題作、遂に書籍化! 最も参考になったカスタマーレビュー 18 人中、17人の方が、｢このレビューが参考になった｣と投票しています。 作者と担当の最高のタッグ、正気なら出版出来ない 投稿者 はるのあめ トップ1000レビュアー 投稿日 2015/12/1 形式: 単行本（ソフトカバー） 　おかしい。犯しい。コレを書いたのは「ぶんころり（金髪ロリ文○）氏」の筈なのに。　　 　確かに、日本人である以上私も黄色い醤油顔だ。イケメンの星の下に産まれたかった。そして出来れば切実に導きの幼女に導かれたい。持ち家に住みたくもあれば、ロリゴンにお目に掛かってもみたい。ああ．．．ワタシの妄想と変わらぬではないか。 　つまりは、好きな人からは茶苦茶支持されるが、良識有る反対派の抵抗が絶大であろうというすてきな物語。この作者にしてこの担当という奇跡の出会いがなければ一般人の目に触れる事も無くネットの海を漂っていただろうに、あろう事か日の目を見る事になってしまった。 　自分の脳中の桃色な妄能を自覚し許容出来る紳士ならばきっと「田中子爵」に憧れを持つ事が出来るに違いない。例えそれがどれほどお下劣に描かれていても尚それが心地よいと感じられる程に。 　結局、何が言いたかったかと聞かれれば　「万人受けは絶対あり得ない、でも１万人ぐらいには絶賛されそう　いや既にしている」 11 人中、10人の方が、｢このレビューが参考になった｣と投票しています。 見た目や文体とは裏腹に、人間的魅力を描いた傑作 投稿者 ショウ 投稿日 2015/12/2 形式: 単行本（ソフトカバー） 　まず、この小説は確実に読者を選びます。 　二次元エロを多分にパロディーした作風で、理解がある人でないと読んでも不快になるでしょう。 　ですが逆に許容できる人ならば、表層とは裏腹にかなり実験的で洗練された内容の虜になるのではないでしょうか。 　登場するキャラクターたちは一見とても類型的ですが、実際はこの種の娯楽小説ではありえないほどの卑怯さ・下衆さを持ち合わせており、あまつさえそれが主人公に向けられます。そして主人公は酷い目にあわされた相手でエロ妄想して鬱憤を晴らすという、およそ美少女萌えとはかけはなれたショッキングな展開です。 　普通のライトノベル作家であれば絶対にやってはいけない流れだと思うのですが、作者さんはその下衆さを、人間なら誰しも持っている身勝手さとして見事に昇華しています。その結果、とても下衆なキャラクターたちはとても人間味あふれるキャラクターたちとして生まれ変わっています。度を超えた欠点であればこそ、非常に強いギャップとして魅力に転換されているのです。 　特筆すべきは、作中で最も下衆で魅力的なキャラクターが主人公であることです。私は最初、主人公の言動をやや嫌悪していましたが、それがいつの間にか強い共感と応援したい気持ちにすり替わっていることに気づき、愕然としました。欠点を魅力にすると言っても、言うは易く行うは難し。平凡な作家なら怖くてできないことを緻密な計算とバランスで成功させる力量は脱帽です。 　読者のほとんどが口を揃えて「とても万人にはおすすめできない、でも自分は好き」とコメントするこの作品は、食わず嫌いをするにはもったいない傑作だと思います。