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ドラゴン転生  
最終話「夢の国
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暖かい羽毛ベット。
スヤスヤッと眠ったわっちは、夢を見ていた。


★第一夜★

昔、わっちは旅をしていた。
銀髪がキラキラと輝いて美しい妖精アイスと、この無限の大空が広がるスカイ・ワールドを旅しとった。
旅の目的は『この世界の最果て』を見る事。
でも、どれだけ進もうと世界の果てには――たどり着かんかった。
30年くらい空飛ぶ自動車に乗って旅をして分かった事は、この世界が無駄に広すぎるという事だけじゃった。
そんな時じゃ。
わっちがアイスに質問したのは

「……アイスはどうして旅をするのかの?
妖精郷がそんなに恋しいでありんす?」

わっちの問いにアイスは晴れやかな笑みを浮かべて

「旅が楽しいからだよ!
もう、どうしようもないくらい旅が好きなんだ!」
「わっちは極貧生活が辛いでありんす。
国を訪れる度に、手持ちの金を、税金で搾り取られて哀しいのう」
「リリーも僕みたいに……何も食べなくても生きていける身体だと良いのにね」

この時、わっちは旅に飽きとった。
10歳くらいにしか見えない銀髪ロリエルフは、どこの国に行っても舐められて、紹介される仕事といえば低賃金で汚くてエッチィ仕事しかなくての。
他の分裂体のわっちみたいに、家庭を持ったり、会社を経営して人生を楽しみたいと思ったでありんす。
旅人は辛いのう。

★第二夜★


次に見た夢は、旅をして50年が経過した頃のわっちじゃった。
旅先で、お金持ちの格好良いエルフの少年に……熱々のプロポーズを受けての。
旅が嫌になったわっちは、結婚する事を決めてもうた。
わっちもエルフじゃし、長生きできる旦那さんは貴重でありんす。
問題はアイスじゃな。彼女は悲しそうな顔をしとった。
それもそうじゃ。
50年間も一緒に旅していたわっちが……旅を止めたんじゃから。
これでアイスは1人ボッチじゃ。
1人旅は辛いじゃろうな……。

「リリー、結婚おめでとう」
「アイス……すまんの。
わっちの旅はここでおしまいじゃ」
「ううん、違うよ!
世界中にリリーの分裂体がいるでしょ?
僕とリリーの旅はまだまだ終わってないよ!」

口調だけは元気じゃったが、アイスは涙をポロポロ流しとった。
わっちも自然と涙が出た。他の個体と記憶を一部共有できるとはいえ、別れは辛いのう。
小学校の卒業式並の悲しさを感じるのう。

「でも……一応言っておくよ、リリー」
「何かの?」
「僕はリリーと一緒に旅をした50年間……とっても楽しかったよ!
ありがとう!僕の我が儘に付き合ってくれて!
僕の目の前にいるリリーは……最高の大親友だよ!」
「う、嬉しい事いってくれるのう。
わっちもアイスと旅が出来て良かったでありんす」
「また会おうね!リリー!」

こうして、わっちとアイスは別れた。
次に直接会ったのは400年後じゃ。
思わず、地球で聞いたこの言葉を思い出したのう。
――生きていれば必ず会える。世界は繋がっているのだから
この言葉、ええ言葉じゃな



★第三夜★


これは、わっちの分裂体の記憶じゃな。
――お菓子の国を作りたい。
夢で見た分裂体は、子供のような夢を持ったロマンチストじゃ。
魔法で、砂糖の山、ジュースの川、チーズケーキの月を作った凄い大魔法使いなんじゃけど……子供ってお金もっておらんじゃろ?
魔法だって設備とか、原材料でかなりのお金を使うから、お菓子の国なんてものを作ったら大赤字で大変でありんす。
このままじゃ、お菓子の国は倒産確定じゃった。
でも、別の成果があっての。
1年に1回くらい、アイスがお菓子の国を訪れて楽しんでくれるじゃ。
だから、わっちが『お菓子の国』にお金を融資して、経営改革をして、助けてあげる事にしたでありんす。
金持ちがもっと来るように、大人向けの夜の街を作っての。
おかげでお菓子の国は、お金持ち用のリゾート地として大繁盛したんじゃよ。
アイスの孤独も1年に1回癒せて、一石二鳥。
わっちは友達思いで偉いのう。



★夢の果て★

「お母さーん!起きてー!ベットで寝てたら駄目だよー!
今日は親友の結婚式でしょー!」

んぅ……おお、娘のリリーナじゃ。
透き通るような金髪、ピョコピョコよく動くエルフ耳、巨乳の美人さん……うむ、わっちそっくりの良いエルフ娘に育ったのう。
男は度胸、女はおっぱいじゃ。
おっぱいが大きかったら優良物件と結婚しやすくてお得じゃよ。
わっちはベットから起き上がって欠伸をした。
今日は良い朝じゃ。
窓から見える空は清々しい青空。
昼寝するにはもってこいの陽気じゃ。
さて、アイスとドラの結婚式に参加するために、朝食を食べて、準備をしないといけないのう。
……
……
……
はて、食堂に入ると、わっちの分裂体が8人くらいいるのう?
大半が、足元まで銀髪伸ばした幼い外見のエルフ娘じゃ。一部、金髪とか褐色肌とかおるのう。
皆、妖艶で意味深な笑みを浮かべとる。
わっちは思わず首を傾げて尋ねた。

「なんでお主らがここに居るのかの?
アイスと一番深い関係がある分裂体はわっちじゃろ?」

8人のわっちが答えを返してきた。

「わっちはお菓子の国を経営しているリリーでありんす。アイスのお世話をしまくった大親友なんじゃよ。
だから、結婚式を祝うのは当然じゃろ?そうじゃろ?」2話 「お菓子の国」参照

「国中にSMプレーを広めたリリーでありんす。他のリリーに誘われたから来たでありんす」 6話 修行の国 参照

「ダークエルフになってしまったリリーです。本の宣伝のためにドラさん利用したからお礼を兼ねて、ここに来ました」 7話「とある作家とドラゴン」参照

「わっちなんて、1年間一緒にリリーとドラと遊びまくった親友じゃよ?結婚式に参加してもええじゃろ?ええじゃろ?わっち寂しい」8話  9話「自動販売機の国」  参照

「髪を金髪に染めたリリーじゃよ。ドラとアイスが島に訪れたのに出会えなくての。
それを残念に思って、こうして会いに来たんじゃ」 10話 「遊ぶ国」参照

「一日宿泊しただけで、ドラとアイスが去ったから悲しくてのう。
もっと会話したいと思って来たんじゃよ」 13話 「人生相談とドラゴン」

「わっちは二人が恋人になれるように手助けしたリリーじゃよ。
恋のキューピット同然の存在なんじゃから、その結末を見に来てもええじゃろ?」14話  「愛の国」参照

「暇だから来た」17話 「戦う国」参照

うーむ、凄いのう。
少人数の結婚式になると思ったが……これはこれで賑やかになっていいでありんす。
ドラとアイスは幸せ者じゃな。
こんなに頼りになれる親友がたくさん居て、羨ましいのう。




٩( ‘ω’ )وこの物語は完結しました、今までの応援ありがとうございます。パルメさんの次回作にご期待ください


次回作
http://syosetu.org/?mode=user&uid=3862


最終話のコメントまとめ +作者感想
http://suliruku.futene.net/Z_saku_Syousetu/Tyouhen/Youseiryu_to_soratobu_daiti/c20.html




 



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