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転生したら、地球生まれのアースノイドから、宇宙生まれのスペースノイドになった。
全く実感が湧かないが、このスペースコロニーの事をもっと良く知らないといけない。
全裸で考え事をする訳にも行かないから、シルバーは、ネット通販で、黒いズボン、黒いパンツ、白い妖精用の高いTシャツを購入し、それらを身につけた。
ついでに購入した黒いマイクを片手に、実況しながら、少しづつ空を降りてゆく。
「え〜、これから俺は、、この星の秘密を探ります。
寄付金をくれると大変嬉しいです」
『お金をあげたら、妖精さんがキャラ崩壊したわ!』
『おーい!雰囲気を醸し出すために、マイク買うなよwww』
「じゃ、いつもの口調に戻って探索だ!
いくぞ!異世界探検隊GO!
世界の真実を見るのは怖いけど、知的好奇心が湧き上がってくる気がする!」
『探検隊の仲間が、ネットにしか居ない件』
『俺らが暖かく見守っているお……』
『現実に友達がいない妖精さん……』
上昇する時と違って、空をひたすら降りるのは楽チンだった。
降りる際に発生するエネルギーを利用し、スペースコロニーの端っこへと、超高速で飛翔する。
速すぎてジェットコースターに乗っている気分になった。
山や砂漠を遥か後方へと置き去りにし、大きな黒い崖へと向かうと――
『妖精さんの戦闘に巻き込まれてwwww壊滅している都市があるんですけどwwww』
『ひでぇぇぇぇぇぇぇ!!これがショタな妖精さんのする事かよぉー!』
巨大客船の残骸に押し潰された大都市。
世界一大きな超高層ビルの破片で、壊滅した大都市などがあった。
地面に巨大なクレーターが出来て、9割方、消滅している都市もある。
幸い、現場にある死骸は人間(ハムスターマン)だけだ。やりようのない悲しみに、彼らは耽っているように見えた。
「だ、大丈夫。
死んだハムスターマンだけが、良いハムスターマンだから、大丈夫……大丈夫」
『ひでぇ言い訳』
『命は平等で、尊いんだよ!』
『地球船宇宙号なんだよ!』
「いや、あの豚人間を放置したら、このスペースコロニーをぶっ壊していた可能性もあるんだから、許してくれよ……。
今、思えば、水着写真をばらまいて時間を稼げば良かった気もするけどな」
そのような雑談をやっている内に、目的地へと到着した。
世界の端っこだ。遠くから見た時は、大きな黒い崖が広がっているように見えたが、近くから見ると、崖の奥から、熱い光が溢れているのが分かる。
「崖から……熱い光……?
溶岩……?」
『スペースコロニーに、そんなもんはないぞwwwww』
『ダイソン天球体だと考えたら……この先にあるのは、言わなくても分かる気がするな……』
崖……いや、スペースコロニーの横に飛び出て、シルバーは一瞬、自殺行為じゃね?と思って焦った。
常識的に考えたら、ここは宇宙空間のはずだ。
幸い、スペースコロニーのすぐ近くなせいか、大気はある。でも、原理は分からない。
『妖精さんっ!下を見て!』
『赤い奴がいるわ!』
そのネットの言葉に釣られて、下を見た。
すると――そこにあるのは――小さな極小の点にしか見えないが、それでも十分に眩しい太陽がそこにある。
更に、空間を降りていって、上を見ると、剥き出しの建材に支えられたスペースコロニーが、輪っか状に何処までも続いている。
輪っか状だが、このスペースコロニーは、地球の何億倍も表面積がありそうだ。
さすがに距離がありすぎて、全貌は分からないが、太陽を囲んで一周する形で、このスペースコロニーは成立しているように思えた。
恐らく、超超巨大な輪っか型のコロニーなのだろうなと、シルバーは推理した。
『宇宙の神秘だわ……』
『太陽のずーと、向こう側にも、輪っかがあるのかな?
太陽の周りを、グルリッと一周するスペースコロニーとかやべぇ……』
スペースコロニーを下から支える建材へと、シルバーは近づく。
全く錆びていない銀色の金属で出来ている。
だが、とんでもないエネルギーが炸裂したのか、老朽化が原因なのか、スペースコロニーの端っこはボロボロだ。建材も所々、ちぎれている。
それらを見ていたネットの皆の一人が、ショタ妖精にツッコミをいれた。
『なぁ、妖精さん。
この超巨大な輪っかって……元々は、球形状のスペースコロニーのごく一部なんじゃね?』
「どういう事?意味が分からん」
『ほら、金属が歪んで切れているやん?
このスペースコロニーの本来の姿は、太陽を中心に、その周りを大きな殻で覆った丸い姿が、本来の姿だと思うんよ。
事故が何かで、妖精さん達が住んでいる輪っか以外、全部、太陽に落下したんじゃね?』
シルバーは唾を飲んだ。
そう考えたら、この黒い崖の光景を見て納得できる。壊れている建材も、それで説明がつく。
『俺が何を言いたいかと言うとな。
このスペースコロニーが今、輪っか状になってるのは、老朽化したのか、豚人間が壊したのか、分からないけど……』
残酷な真実が、突きつけられた。
『このスペースコロニー。
近い将来、かつて存在した他の大地みたいに、全部崩落して、あの太陽に落ちるんじゃね?』
世界滅亡の危機だった。
老朽化が原因だとしたら、現状では手の尽くしようがない。
『夢幻』の力を持つ豚人間の化物っぷりが原因だとしたら、皆殺しにしないと解決できない。
もしも、先ほど倒した豚人間みたいな化物が、その力を地面に叩きつけたら……スペースコロニーを支えている建材は壊れ、皆で一緒に太陽へGOするだろう。
ダークシルバーが、劣悪人種絶滅政策を取っていた理由も、今なら分かる。
そうしないと、いずれ、このスペースコロニーがぶっ壊れて、全て燃え尽きるからだ。
どうにかして、ハムスターマンと豚人間を皆殺しにしないといけないなと、シルバーは思った。
それはとっても壮大で、雄大で、偉業で、世界史に名前を残すどころか、トップレベルの英雄になれそうな労力が必要だ。
そして、鉄資源に、とんでもない価値があるのも理解できた。
あの時、会話したドンのセリフを、今なら納得できる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「無視するんじゃないのぜぇぇぇ!!!
空を飛べるからって、調子に乗るのもいい加減にするのぜぇぇぇぇ!!
亜人は、俺達、人間のために存在するっ!下等生物なのぜ!
さっさと自害するのぜ!これは人間様の命令なのぜ!
村の周りに布設した、怖い物体を除去するのぜぇぇぇぇ!!」
「返さないと、村を爆破するぞー!
子供達が不幸になってもいいのかー!」
「元はといえばっ!お前のせいで、俺らの生活が破綻したのぜぇぇぇぇ!!!」
「はっ?」 シルバーは呆けた声をあげた。
「お前らの村がっ!
安い鉄を使って!
鍬を量産したせいでっ!鉄の相場が崩壊して俺らが生活できなくなったのぜ!
だから、これくらいの事はやっても良いのぜ!
それが分かったら!自害するのぜ!これは命令なのぜ!」
『なぜ、鉄の相場が下がるwwwww』
『たった10トンで相場が崩壊だとっ……!?』
『妖精さん……明らかにこれ、口からデマカセだぞ……。
いくらなんでも、たった10トンの鉄で相場が崩壊するのはありえない事だ……』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
スペースコロニーを、掘れば、金属資源は豊富に出るだろう。
だが、それらを採掘して掘り出す事は、生活空間そのものを破壊する事を意味する。
必然的に、安全に採取できる金属資源は少ないはずだ。
金属製の備中鍬に、とんでもない価値がある理由も、これで説明がつく。
「……俺の人生が詰んでいる気がするのは、何故だろう?
全世界で穴を掘るの禁止しないと、不安すぎる……」
『妖精さん』
「ん?」
『内政チートして、文明発展させて頑張れ!』
『技術を発展させて、スペースコロニーを修理すればいいお!』
『うむ……努力すれば……ワンチャンスだ』
「そういえば……ネット通販に、地球人の奴隷を購入できる一覧があったような……?
科学技術を地球の皆と一緒に発展させれば、ワンチャンスかなぁ?
やっぱり省エネな科学技術は、日本人が一番?」
『それはらめぇぇぇぇぇ!!!』
『こんな、いつ崩壊するか分からない危険地帯に、人を放り込んじゃ駄目えぇぇぇ!!』
ネットの寄付で生活している以上、地球人の人権は守らないといけない。
ショタ妖精は、未来に待ち受ける難易度の高さに絶望した。
先史文明と、このスペースコロニーの製造は関係ない気がするだけに、修理方法が全く思い浮かばない。
(´・ω・`)主人公が今まで購入したアイテムは、こっちに全部纏めた。
http://suliruku.futene.net/Z_saku_Syousetu/Tyouhen/Neltuto_tuuhan/Aitemu.html
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