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もふもふ帝国で狐耳の巫女やっています
二章 ナポレオンの大陸封鎖令

2話 イギリス史上最大の大英雄ネルソン提督が激怒したようです

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魔力ってなーに?

空気中に漂う精霊さん達が提供してくれる謎のエネルギーです。
魔力ステータス+魔力を扱うスキル+魅力ステータスが高ければ高いほど、大量の精霊さんが懐いて力を貸してくれます。
主に魔法の動力として使用されますが、魔法の作動原理が不明なため、ゲームの仕様のまま発展性がなく、有効射程距離もせいぜい100〜200mで不便だから、魔力を使ったマジックボウガンなどの射程が長い武器が戦争でよく使われています。元帥閣下。

狙撃の名手ウサウサ・ヘイヘ





〈辺境伯領、軍事実験エリア〉
【エミール少年視点】

今日はとてもすっきりとした快晴です。
僕は大好きなマスターと一緒に、冒険者達の手で作られた兵器を視察しに来てました。
兵器の性能実験を行うから、場所は広々とした砂の砂漠です。
緑色の軍服を纏った軍人達が数十人ほど居て、今、僕の目の前にはAK47アサルトライフル?という銃を担いだウサギ人の美少女軍人ウサウサ・ヘイヘさんが立っています。
女性らしい胸の膨らみ、神秘的な紫色の髪、真っ白の肌、怖いほど冷徹さを感じさせる無表情、鋭利な視線をマスターに向けていました。
タヌキモンさんは今日は他に仕事があるからこの場に居ません。

「ミーニャン元帥閣下、私は今回の案内役を努めるウサウサ・ヘイヘ大尉といいます」

ウサウサさんはその場で右手を上げて敬礼して格好よくビシッと挨拶しました。
こういうクール系のお姉さまも素敵だと僕は思います。
マスターは笑顔を顔に浮かべて、穏やかな口調で挨拶を返しました。

「うん、よろしくねウサウサさん。
ところでその腕に担いでいる銃って本物なんだよね?」

「はい、本物の突撃銃です。元帥閣下」

「突撃銃?」

「実用的な全自動射撃能力を持つ自動小銃の事です。
このAK47は、数時間の練習で使える・壊れ辛い・どんな悪環境でも使用できる・低コストが売りで、地球では1億丁以上製造され、紛争地帯で大活躍する殺戮マシーンと化しましたが……この世界の環境では使えません」

「?」

その言葉に、マスターが首を斜めに傾げました。
専門用語が多すぎて理解できませんが、信頼性に優れた武器だと説明している位の事は僕にも分かります。
ウサウサさんは、突撃銃をスエズ湾がある東の方角へと向けてゆっくりと構えた後に大きな声で

「元帥閣下!
これから先ほどの言葉の意味を説明しますので離れてください!
とっても危険です!
安全のために出来れば50mほど離れてください!」

マスターは呑気そうに、その場で首を傾げました。
危なそうな雰囲気だったので、僕はマスターの右腕を引いて、ウサウサさんから距離を離します。
時間をかけて僕たちが50mほど離れた事を確認した後、ウサウサさんは突撃銃の引き金を引いて、銃口からパンッ!という音がなった瞬間、空から神々しい白い光が落ちてきました。
ウサウサさんはその光……圧倒的な熱エネルギーに包まれて体が蒸発して消滅。
光に触れた周りの砂の地面も溶けるを通り越して気体になって蒸発してます。
し、死んじゃいました。
モッフモフしてみたいウサギ人のクールなお姉さまが死にました。
場には10mサイズの巨大な穴が残され、謎の声が僕の頭に響いています。

【非魔法兵器禁止条例違反!by戦の神様】

酷い。
これが神様のやる事なんですか。
あんなにウサ耳が素敵なウサウサさんを殺すなんて酷いです。
マスターの方を見ると、目の前で人が死んだ光景を見てショックを受けたのか、狐耳が下に垂れて落ち込んでました。
僕はゆっくりマスターの腰を片手でさすって、気分を和らげてあげようとすると……先ほどの光で出来た穴の上に、半透明のウサウサさんが浮いてます。
身体が透けて、向こう側の砂漠の荒野が見えます。
当然、服はないから全裸です。
胸は小さすぎず、大きすぎずバランスが取れた良い体をしている素敵なお姉様だと思いました。
幽霊なウサウサさんは、死んだ事に全く動揺せずに、冷静なまま口を開いて

「元帥閣下。
先ほどの神様の攻撃を見ての通り、この世界では兵器の開発が恐ろしい程に制限されています。
一部の武器を除いて、魔力を使用する兵器じゃないと神々の怒りを買うんです」

「う、うん、わかったから服を着ようね。
裸は良くないよ、裸だと風邪引いちゃうし」

マスターが動転して、周りからウサウサさんの半透明の裸体が見えないように手を大きく振って隠そうとしてます。
幽霊の事はよくわかりませんが、風邪って引くんでしょうか?
マスターの慌てっぷりから、ウサウサさんの顔がほんのりと真っ赤になってます。

「……気にしないでください、元帥閣下。
幽霊が全裸なのは当たり前で風邪も引きません。
出来れば、後で蘇生魔法を使える人を呼んで貰えると嬉しいです……24時間以内に蘇生しないと、復活に高価な賢者の石が必要になりますし」

普段、クールそうな女性がこうやって照れてる姿を見ると癒されるものあります。
あと、ウサウサさんが語った賢者の石は、エジプトのピラミッドダンジョンから湧くファラオ(王様)っていうアンデットモンスターを倒すと落とす貴重なアイテムの事です。
このアイテムは死亡してから1日以上経過した冒険者を蘇生する効果があります。
市場だと、辺境伯領がほぼ独占状態+値段のつり上げをしているせいで、1個10億ミーニャンで売っていて高いんです。
でも、そこらへんで死んで何年も幽霊状態で漂っている冒険者の蘇生に使ったり、定期的にヨーロッパ帝国の宗主国フランスに上納しないといけないから幾らあっても足りません。
幽霊のまま空中に浮いているウサウサさんは、僕がじーと見ている事に気づいたのか、両手で急いで胸を隠しつつ、マスターのために話を続けました……こういう恥じらいはグットです。
癒されます。

「……ともかく、地球で使われているほとんどの兵器が、この世界では使用不可能なのです、元帥閣下」

「うーん、それは困った事だよね。
ちなみに地球の兵器があったら、どれくらいすごい事になるのかな?」

「製造コストがかかりますが、有効加害範囲50mのクレイモア対人地雷があれば、周辺の超大国が攻め込んできても、地雷で敵軍の行動を制限して有利に戦えます。
大量の弾丸を吐き出す重機関銃と、弾頭を量産する工業力があれば、遠距離から何十万発の銃弾を敵に浴びせて、少数の戦力で大軍と渡り合う事が可能です。
持ち運び簡単な短機関銃があれば、機動力を歩兵部隊に持たせたまま、高い火力で敵軍を圧倒しつつ、移動して戦えます。
更に貧者の核兵器と呼ばれる凶悪な毒ガスがあれば、製造コストが安くて取り扱いが簡単な事もあり、超大国に侵攻して現地で渡り合う事も可能です……が、この世界で使用すれば、神々の攻撃を受けるので実質使用不可能。
私達はこの制限された状況で、兵器開発をやらなければいけなくなって大変でした。
マキシム機関銃を作って使用したら空からビーム。
マキシムよりも旧式で扱いが不便なガトリング砲をわざわざ作って使用したら空からビーム。
単発式で扱い辛くて価値もない火縄銃を作って使用したら空からビーム。
どんな兵器なら、神々の怒りを買わないのか判明するまで、死に続ける毎日だったんです」

ウサウサさんがとっても疲れたような顔をして、細長いウサギ耳をペタンっと垂らして、ため息を吐きました。
僕にはよく分かりませんが、冒険者達が作ろうとする武器が恐ろしい物だって事くらいは分かります。
神々が製造を禁止した理由も、また分かります。
そんなものが地上に溢れたら、戦争がもっと悲惨なものになって死傷者が増えますよね。
それにしても、胸を隠して恥じらっているウサウサさんは可憐です。
僕の狐耳がピョコピョコしました。
ウサウサさんの愚痴がしばらく続いた後、ウサウサさんの左手が兵器実験場の遠い場所を指し示して、急に元気な声で

「……ですが、その辛い日々が報われる時が来ました。
見てください。
あの試作マジック・レールガン軽戦車を!」

マスターと僕がその言葉に釣られて、示された方向を見ると、砂漠迷彩を施した大きな車両がある事に気づきました。
こちらへと向けてキャタピラをキュラキュラ鳴らしながら回転させて、砂漠の砂の上を何の問題もないかのように走ってます。
キャタピラは大抵の悪路を通過するために、道路を自分で敷いて走っているに等しい走行性があるって、トヨータ自動車工場の人が以前言った事を思い出しました。
ウサウサさんは胸を手で隠す事すらやめて、戦車を見て唖然としているマスターに説明を続けてます。

「レールガンは電磁誘導で弾丸をレールの上で加速して撃ちだす兵器!
レールが長ければ長いほど威力と射程距離が伸びます!その分、レールと弾丸が摩擦してレールの寿命が縮むのが欠点です!
現実なら大容量バッテリーと瞬間的な出力の問題で運用に困りましたが、冒険者のMPそのものを一気に大量消費して電力に変換する事でそれらの問題を解決しました!
……ただし、地球と違って良い部品が調達できないため、性能は頑丈さ・整備性・連射性を重視して地球のレールガンの100分の1ほどの性能しか持たない劣化品です」

ここで疑問を持った僕はウサウサさんに質問しました。

「僕は地球の事を知らないんですけど、そんなに性能が低いのなら、このレールガン戦車に意味あるんですか?」

「地球のレールガンは10kgの弾頭を飛ばして、射程200km以上、初速マッハ7の化物です。
辺境伯軍が開発したレールガンは、射程3km程度の劣化品ですが、この世界では大きな意味を持ちます。
Lv2000の廃人冒険者にレールガンをぶつけて試したら、なんと強固な魔力障壁を5発目で破壊して6発目で貫通しました!
弾頭も火薬を使う弾丸に比べれば、サイズが小さく、低コストな上に大量運搬に向いています」

僕は絶句しました。
地球って世界は何を考えているのか分かりません。
きっと、この世界以上の大魔境です。
恐る恐る、この武器が地球ではどのように扱われているのか気になったので、ウサウサさんに再度質問しました。

「……そんな恐ろしい兵器を、地球では何のために使っているのですか?」

「アメリカ軍では巡航ミサイルの代わりになる低コスト兵器として開発を進めていました。
ミサイルの弾頭は一発50万─150万ドルほどかかるのですが、レールガンなら、たった2万5000ドルで済む上に艦艇から弾薬庫を削減できて一石二鳥です。
最終的に完成すれば、一方的なアウトレンジ攻撃が可能となり、莫大な軍事費と戦死者を出すことを嫌がる地球の民主主義国家にぴったりなんです」

……マスターが育った世界は、どんな場所なのでしょうか。
想像できません。
こんな兵器を、軍事費が安く済むからという理由で開発・研究している時点で可笑しいと思います。
その後も、ウサウサさんの話は続き、現在、アメリカ大陸とヨーロッパを往復している電気駆動船を護衛している
駆逐艦にレールガンを搭載しているらしいです。
レールガン軽戦車よりも10mほど長いレール(砲身)を詰んでいて、そこから次々と弾頭を連射できるとか何とか言ってました。
どおりで世界一の海軍を擁する大英帝国の支配下の海を通過して、アメリカ大陸と交易できる訳です。
名将ネルソン提督でも、きっとレールガンに対処するのは困難だなと思いました。











〈地中海(アフリカ大陸とヨーロッパの間にある海の事)〉
【大英帝国 地中海艦隊司令官ネルソン提督視点】


綺麗な地中海の海を船上から眺めながら飲むワインは最高だ。
この海は大英帝国が支配する海、つまり俺が支配する海。
ヨーロッパ帝国の大艦隊だって、ここを自由に通過する事を俺が許さねぇ。
ん?俺が誰だか知らないのか?
イギリス史上最大の大英雄ネルソン提督を知らないのか?お前は何処の田舎者だよ。
ナポレオン皇帝の馬鹿な野望を粉砕しまくって大英帝国を守り、ヨーロッパ中の海軍に恐れられている最強の海軍提督だぞ。
俺が居るだけで、ヨーロッパ帝国はまともに海軍の訓練が出来ないんだ。
ナポレオンがエジプト遠征した時に使ったフランス艦隊を徹底的に追撃して壊滅させて、ナポレオンの馬鹿をエジプトで孤立させたり、トラファルガーの海戦ではフランス・スペイン連合艦隊を相手に、自軍の艦隊から一隻も轟沈する船を出さずに、フランス・スペインの大艦隊を壊滅させた張本人なんだぜ。
その時、うっかりフランスの軍艦から銃撃されて身体に穴が開いて、1回、俺死亡しちゃったけど蘇生魔法のおかげで五体満足で今日も生きてる。
もし回復魔法がなかったら、片目を失明、腕も片方を切り落として悲惨な事になっていると思うぜ。



つまり、なんだ、俺が言いたい事は、俺が率いている地中海艦隊も凄ぇって事なんだ。
地中海を通してヨーロッパ・北アフリカ・中東での貿易が盛んだから、ここを支配する事は相手国の経済を牛耳るに等しい。
この艦隊を敵に回した国は、地中海を通じての貿易・補給を俺が徹底的に邪魔するから、誰も逆らえない……はずだった。
だが、遥か水平線の向こうにある黒い船は違う。
マストも帆もない船の癖に、超高速で海の上を移動して大西洋と地中海を通って、アメリカ大陸に交易に行く厄介な奴らだ。
旗がデフォルメされた二頭身の可愛い狐娘のイラストだから、ヨーロッパ帝国のミーニャン辺境伯領の船って事くらいは分かるが、まじありえん。
大英帝国が保有する船の中で一番早い船でも、時速17ノットくらいなのに、あの黒船はどう見ても40ノット(時速約74q)は出ている。
あと、商工業が発達して土地からの収入に依存する封建領主の没落が大流行したのと、ナポレオンが封建領主制を各地で廃止しまくっている状況の中、辺境伯っていう貴族階級が存在している事もありえん……と言いたいが、東ヨーロッパでは西ヨーロッパの穀物需要を満たすために、大規模な農業のために封建領主制が盛んだと聞いたから、きっと辺境伯という階級も存在しえるんだろう。たぶん。

ともかく、これは偉大なる大英帝国への挑戦だと、俺は受け取った。
追跡する事はほぼ不可能だが、海上の要所ジブラルタル海峡で待ち伏せすれば、マジック・大砲の有効射程距離に誘い込む事くらいは可能だ。
地中海艦隊26隻でボコボコにして、ヨーロッパ帝国の新型船を拿捕してやるぜ!
オークションにかけて売れば、一気に大金持ちになる事間違いなしだな!
愛人のエマに良い土産話を持って帰れるぞ!
エマ愛してる!お前は金遣いが荒すぎて、幾ら稼いでも足りないけどな!








待つ事、3日。
黒い船5隻が地中海からやってくる光景が見えた。
隣に小さい護衛艦が1隻見える。
どの船も狐娘を可愛らしく描いた旗を掲げているから、ミーニャン辺境伯の所に所属している船で間違いはねぇ。
どうしてそんなに早く動けるのか、拿捕してその謎を大英帝国の技術者達が解いてやるぜ!
何隻かは沈めてしまうだろうが、そんなのは構わねぇ。
大英帝国の興廃はこの一戦にかかっているに等しいからだ。
あんな恐ろしい速度で移動できる超高速艦艇を、大英帝国側も手に入れないとおしまいだ。
海軍力でヨーロッパ帝国に負けて、海を支配できなくなった瞬間、大英帝国は崩壊する。
だが、今なら逆転できるんだ。
陸の人間は海の事なんて何にもわかってないからな。
俺が何度も何度も海の戦で勝利できている要因の1つに、ヨーロッパ帝国の海への理解の欠如がある。
あの超高速艦艇を俺達が手に入れて、謎を解き明かせば、海の戦はこっちのもんだ。
来い。
さぁ、こっちに来い。
200m範囲に近づいたら魔法攻撃、更に50m範囲内に近づいた瞬間、艦隊による一斉砲火の後に、近接戦闘して白兵戦すればこっちの勝利だ。
そう思って、ちょうど水平線のギリギリ4kmほど先にいる黒い船を、旗艦ヴィクトリーの甲板から望遠鏡で見ていたら、頭上でダァーン!という轟音が響き、旗艦ヴィクトリーのマストが真っ二つになって、帆と一緒に海へとザパァーンと落ちていた。
甲板にいた海兵達は、口をポカーンと開けて、何が起きたのか分からないという顔をしている。
俺も一瞬、何が起こったのかわからなかった。
だが、次々と4km先にいる敵艦から超高速で砲弾が発射されている事を、俺の目は理解した。
Lv22000の俺の動体視力でようやく見える超高速の弾丸だ。
その弾丸が次々と飛んできて、木造の軍艦を貫通して破壊して、俺の部下達を海の藻屑へと変えている。
僅かに掠るだけで衝撃波で体はバラバラ。いや当たらなくても空気中に伝わる衝撃波を浴びるだけで兵士達には大ダメージだ。
まずい。
勝ち目がない。
こんな戦い方を俺は見た事がない。初見殺しすぎて対処方法が思いつかない。
大英帝国の海軍は長年続く対ナポレオン戦争のせいで、そこらへんにいる若者を拉致って海軍に強制就職させた軍人の集まりだから劣勢になるとまずい。
士気が低下したらあちこちで兵士による反乱騒ぎが起きるぞ。
反乱騒ぎ起こしているアメリカから強制徴募した兵士達もいるから不味い。やばい。
俺はすぐ様に、撤退命令を下した。

「各艦に伝えろ!すぐ逃げろとなっ!」

「ここは転進と言ってくださいよ提督。
逃げろでは士気に影響が出ます」

副官がツッコミをいれつつも命令を忠実に実行して、手旗信号で各艦に俺の命令が伝わり、一目散になってジブラルタル海峡を離れていく。
旗艦ヴィクトリーもハーディ艦長の指揮の元、海峡から離れていく。
恐らく、ここで逃げても追撃を受けてほとんど戦死するだろう。
艦艇の移動速度と、大砲の射程距離が違いすぎる。
蘇生魔法で蘇生できるのは、1日以内に死んだ人間だけだ。
ここで死ねば、蘇生魔法を使える魔法使いが来るよりも前に、神様の所へと魂が行ってしまう。
なんてことだ。大英帝国はおしまいだ!
死ぬ前に愛人のエマたんに会いたい!
俺が死んだら、誰があの浪費家を養うんだ!?きっと破産するぞ!
あ、俺の所に超高速の弾丸がやってきた。
4kmの距離をたった3秒で通過して、弾丸は咄嗟に展開した魔力障壁へと衝突して真っ赤な火花を出している。
やばい。
この弾丸の運動エネルギーを殺すのに、俺の体内の魔力が根こそぎ奪われる。
世界最大級の68ポンド砲「カノンロイヤル」ですら、平然と弾き返す魔力障壁が貫通寸前だ。
あと少しで魔力が完全に底に尽く寸前で、砲弾の持つエネルギーが魔力障壁で消費され尽くし、船上へとコロンと落ちた。
こんなに死にそうな気分になったのは、トラファルガーの海戦以来だ。心臓が爆発するかと思った。
不思議な事に、次の弾丸が飛んでこない。
俺の視線は、4km先にある黒い船の甲板で砲台と思しき二つのレールを組み合わせた奇妙な兵器がある場所で、周りに指示を飛ばしていると思われる青狸を捉えていた。
よくもやってくれたな!この畜生め!
どうやら追撃をする気がないようだが、ここで俺を殺さなかった事を後で絶対に後悔させたる!
その武器、お前らの工業力で作れるって事は、大英帝国ならもっと優秀な性能の奴を作れるって事だよな!
世界の工場イギリスを舐めんなよ!







〈辺境伯海軍 タヌキモン級駆逐艦〉
【タヌキモン視点】

レールガンを調子に乗って1000発連射するように命令したら、長さ10mのオリハルコン製レールが弾丸との摩擦で焼き切って壊れた。
効率の良い冷却システムが欲しい。
電力の問題は廃人冒険者の魔力を電力に変換する事で全部解決できるが、超高速で弾丸を乱射するレールガンは仕様上、恐ろしい熱を発するため、高価なレールが摩擦に耐え切れず壊れてしまう。
射程距離を30kmまで伸ばしたが、頑丈さが犠牲になって、これでは使い物にならんな。
こんな事をするくらいなら、耐久力を向上させるために連射性能を落とし、一発一発の命中率を向上させて、対艦船用にした方がいい。
レールガンの整備は分解して直さないといけないから大変なのだ……無論、辺境伯領の工業力は低いのも問題である。
地球でレールガンを開発していた技術者達が、冒険者にいたのと、ナポレオン皇帝がレールガンの話を聞いて非現実的な妄想兵器だと判断して技術者達をその場で採用しなかったおかげで、辺境伯領へと流れ込んできた彼らを雇って実用化できたが、安定して運用するためにはもっと技術力を発展させる必要がある。
特に何だ。あの化物は。
電子眼鏡で大英帝国の地中海艦隊の旗艦を覗いていた部下が言うには、レールガンのマッハ3の超高速弾丸が直撃したのに無傷の化物が居たそうだ。
そんな化物がきっと大英帝国にはウジャウジャいるのだろう。
恐ろしい事だ……世界の半分を実質支配できたのがよく分かる。
きっと、大英帝国の大英雄ネルソン提督は、レールガンから発射された弾丸を弾き返したり、そんなことが出来るに違いない。
もっとレールガンの上手い運用方法を考えないと、ミーニャン閣下とルナさんを守れないな。









あとがき

(´・ω・`)史実を蒸気機関ねたをレールガンに変えてやってみた。

1807年 フルトン(´・ω・`)蒸気機関を積んだ船を作ったー

ナポレオン(´・ω・`)はいはい、妄想おつ。いらんいらん。

蒸気船(´・ω・`)俺の時代が到来した。

ナポレオン(´・ω・`)




冒険者(´・ω・`)レールガン作りたいからお金頂戴ー!
現実でレールガン作ってた!

ナポレオン(´・ω・`)妄想おつ

冒険者(´・ω・`)もうやだ、辺境伯領で予算もらって作る!
はい!レールガン〜!

ナポレオン(´・ω・`)



ネルソン提督「俺は海戦で勝利しまくって、ナポレオンの野望を打ち砕いた大英雄なんやで」 (18世紀)
http://suliruku.blogspot.jp/2015/03/18_30.html
イギリス「海軍の兵員を確保するために、職人・船乗りを強制的に徴兵して、悪待遇で働かせるわ!」 ☚ナポレオン戦争時代のイギリス(18世紀)
http://suliruku.blogspot.jp/2015/03/18.html
アメリカ「射程距離204kmのレールガン作った」  ※海軍の艦艇の主力が射程24kmの時代
http://suliruku.futene.net/1uratop/Rekisimono/Amerika/22.html


あとがき

冒険者を次々と蘇生させて運用しているせいで莫大な借金がある。

ナポレオンの隠し子 エミリー


注意点
●非魔法兵器禁止条約がある(銃やミサイル作ると、精霊さん達(ピコマシン)が攻撃してくる)
●タヌキモンの視点はうざったいから最小限にする。
●ミーニャン辺境伯領は文化侵略をしようとしている(アイドル、歌、踊り)
@ベートーベンはニャンコ・ノ・ルナちゃんのために萌え音楽家になった。
●トラジロウの嫁は電波神
●軍事戦略は空軍と狙撃兵と冒険者による機動戦。つまりドイツ軍の電撃戦


機能性が高い靴を作って量産して産業・軍事チート
http://suliruku.blogspot.jp/2014/09/blog-post_46.html
飛行船を作って、空から一方的に攻撃する軍事チート【空の魔王】
http://suliruku.blogspot.jp/2015/03/blog-post_61.html
ナポレオン「近代戦は火力が高いせいで戦死者が大量に出る……そうだ!徴兵制度作って、総人口の2.8%を徴兵しよう」☛ヨーロッパのほとんどを影響下に置いた
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触れただけで大怪我する化学兵器で外道軍事チート
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瓶詰・缶詰食品を造って普及させる ナポレオンが使ったチート
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無線で遠い距離を一瞬で連絡し合って情報戦チート
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小説書くためにオスマン朝のメフメト2世の事を纏めてみた。
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トンプソン短機関銃を作って軍事チート(新しい銃種の時代を到来させて、世界史を変えた武器)
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戦車を作って軍事チート(機関銃を防御し、陣地を突破して世界史を変えた兵器)

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兵力を高速移動させる電撃戦で、敵軍の後方を遮断して、敵主力を孤立させて殲滅戦チート
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ナポレオン「俺、悪筆すぎて自分が書いた文字すら読めない件」
http://suliruku.blogspot.jp/2015/03/blog-post_743.html


●少数兵が大軍に取り囲まれたら、九分九厘負けます。 兵糧攻めに合うか、火攻め、水攻めなどにあいます。 勝ったケースは、ほとんど、奇襲攻撃・夜襲で勝っています。
兵法の定石は、「多数を持って少数を制す」ですが場合によっては「多数であることが欠点に変る(変えられる)」ということでしょう。
●狙撃兵育成戦略 例  32人で4000人のソ連軍を撃退したとシモ・ヘイヘ 殺戮の丘
ゲームスタート

2章のプロット

●辺境伯領がありえないほどに物資をヨーロッパ帝国中に輸出している + 無線などの技術を開発した事でナポレオンに注目される。
(嫉妬の感情とともに)

でも、隠し子のエミリーが猫人だから、娘の幸せを考えて、不敗のタヴーに娘を預けて、辺境伯領へと視察に行かせる。

●軍勢1000人と一緒にエジプトの北に着くと、恐ろしい高速で動いている電気駆動船がうじゃうじゃ。
驚く。エジプト遠征をした頃はこんなに発展してんかった。
市場を見て回ると、機能性が高い靴、カップラーメンを見て驚く。
陸軍は長い距離を行軍する必要があるから、性能の良い靴は地味に重要。
カップラーメンは兵站的に素晴らしいアイテム認識

●ミーニャン達が出迎えて、鉄道の電車で都市スエズへー。
タヴー驚く。娘さんも驚く。
ありえん。

電気魔法に頼りすぎて、将来的な発展の足枷になるなんて言えん。

都市スエズが恐ろしいほど大発展していた。
膨大な建物が立ち並び、高層ビルが数件ある。

●これなら娘さんを任せられるという事で、エジプト王の称号を皇帝から授与される事を告げ、代わりに軍事面での技術協力をナポレオン側が求める。
更に親戚関係になるために、将来ミーニャンが産んだ男子と、ナポレオンの隠し子を結婚させる事を約束させられる。

ナポレオンの手紙にそう書いてあったけど、悪筆すぎて戦場の地図にしか見えなかったから、タヴーが口頭で説明。

●ブタマン帝国が大量の補給物資を集めて、戦争の準備をしている報告が届いた。

3章

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