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吸血姫はアホ可愛い!

48話「ロリへの愛は世界を救うか?S〜苦しみの魔王B〜」



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補足説明+ネタバレ全開ver

http://suliruku.blogspot.jp/2017/03/48.html

問い:設定とはなんぞや?

答え:後付けで作るものなり。主人公の経歴がめちゃくちゃだから、あ、これ、人造人間の類だわと、あとでパルメが思った。





「おやぁ?家畜君の記憶は可笑しいねぇー?意図的に上書きした形跡があるよぉー?これはどういう事なんだろうねぇー?」

「えっ……?」

俺は訳が分からなかった。苦しみの魔王が何を言っているのか理解したくない。
今まで俺が感じてきた数々の違和感を、こいつは――指摘してきやがった。

「君、家畜社会で流行している即席クローン人間の類だったりするんじゃないの?家畜が飼っている家畜さんなのかなぁ?」

「そ、そんな事があるもんか!俺は日本育ちだし、両親は青森にいるぞ!?青森は産業がなくて貧乏で、でもリンゴが美味しくて……」

「それは全部嘘だねぇ、家畜君〜。脳みそに刻み込まれた情報を真実だと信じ込みたいだけだろぉー?わかるよぉー?」

「お、俺は徴兵されるのが嫌で、冒険者支援学校に小学生の頃から入って努力して――」

「なぁ、家畜。普通の家畜の子供は、そんなに決断力ないよ?将来の事なんて具体的に考えるどころか、遊ぶ事に夢中になる年頃だよぉーあれれー可笑しいなぁー?
僕は今まで、色んな家畜を虐待してきたけど、小さい頃から自分の生きる道を決めて生きている奴なんて超少数派だよ?あれれぇー?本当おかしい記憶だなぁー?」

「……そんな馬鹿な事があるか!俺は自分の意志で冒険者になって、可愛い女の子を見つけるためにダンジョン学園へ入ったんだ!
俺は俺のために選択肢を選んで、この結末にたどり着いたんだ!誰かの意志なんて関係がない!俺の人生は俺の物だ!」

叫びながら……ふと、俺は思い出す。白真珠と出会った特別な日を。ダンジョン学園へ入学した時の俺の思いを――

ーー
俺は……兵役から逃れるために十歳の時に冒険者の進路を志願し、冒険者支援学校で魔導を学び、ライバルと競い合いあった果てに――この入学式に今に至ったという訳だ。
冒険者は良いぞ。定期的にノルマの達成を求められるが報酬は良いし、自宅まで簡単に買える。
自分達で自由に計画を決めて、ダンジョン探索をやれるのは有り難い。
学園に入学すれば、可愛い女の子達とも知り合えるだろうし、雑魚モンスター狩りをやっていれば死ぬリスクも低くてウハウハだ。
ーー

あれ……冒険者支援学校でライバルと競い合ったはずなのに、なんで今の俺はボッチなんだ……?
まさか、これは記憶を改竄されている……?だがドナルド先輩と出会って、親しくなったのは真実のはずだ。そうじゃないと説明がつかない。少なくとも、12歳の頃からの人生は、真実じゃないと困る。
今までの記憶が全て嘘だったら、何を信じて生きていけばいいのか凄く困る。困る。嫌だ。過去が虚飾に満ちているのは最悪だ。俺は人形じゃないっ!

「家畜君の記憶を覗くと矛盾する所がたくさんあるよ?疑問点がたっぷりだよぉー?
家畜君はなーんで、地球に一度も戻っている記憶がないの?親が恋しくないのかなぁー?あれれぇー?可笑しいなぁー?」

「あっ……」

「おい、家畜君、気づいていただろ?地球のどこにも居場所はないって。
そもそも、地球に行こうとしたら、不良品として処分されるって本能的に理解していたよねぇー?ああー、可哀想な家畜だなぁー。故郷は偽物、記憶も偽物、思いも偽物。何が真実で本物なのか分からない家畜人生とか、笑っちゃうよねぇ?ねぇ、今、どんな気持ち?ああ、もちろん嫌がらせだよ。この質問はねぇ。家畜君の魂から美味しい感情がたくさん出ているから苦しんでいる事がわかるよー」

「違う!この記憶が偽物な訳がない!俺の母親は専業主婦で、父親はパイロットなんだァー!」

「はぁい、はぁい、偽物の記憶を植えつけられた家畜……いや、家畜ですらないなぁ……」

これ以上、聞きたくなかった。価値観の崩壊。それは脳みそをぶっ壊す事に等しい。
心が砕けてしまいそうだ。経済崩壊した国の住民のように、今まで信じてきた絶対不変な価値観がガラガラッと瓦礫のように崩れていく。

「そうだっ!家畜君っ!君は家畜どもが家畜に似せて作った人形じゃないか!つまり、玩具だよ!玩具っ!僕の遊び道具になる前から玩具とかどんな気持ちぃぃぃ?その感情が美味しいよぉぉ!どんどん苦しんで苦しんでくれぇぇぇ!」

「ち、違う……俺は人形じゃない……人間なんだ……」

「人形だから、人形みたいに綺麗な家畜のメスを好きになったんだろう!わかるよぉぉー!人形だから人形のような娘しか愛せない!
それに家畜君はロリコンって奴だろ!ロリコン!確か、家畜の社会だと、小さい娘に欲情するのはダメなんじゃなかったけ?社会不適合者さんと次から呼ぼうかな!はははは!
いや家畜不適合者さんかな?苦しめてごめんねっー!家畜さんっー!ああ可哀想でレアな家畜だなぁぁぁぁ!魂が悲鳴をあげている所がたまらないよぉぉ!」

「クソ野郎……!俺は人形じゃないって言ってるだろ!俺は人間なんだっ!」

「ほら!もっと苦しみなよ!心の苦しみはたまらないねぇ!色んな味を楽しめるから、単純な拷問より得な気分になれるよ!
あ、そうだ。縞々パンティーが大好きなようだけど、それも変態すぎる性癖だよね?将来的に下着ドロボーに転職したほうがいいんじゃないかなぁ?まぁ、君は僕の家畜として過ごすことが決定しているから、何の意味もないけどね!未来も希望もないってどんな感じなんだろう!それどころか家畜君には過去もないなんてっ!あははははははは!たまにこういう人生を歩んでいる奴がいるから家畜虐待はやめられないんだよぉー!心がキュンキュンして楽しいねぇぇぇ!縞々パンティーってどんな下着なのかなぁぁぁ!……ん?」

縞々パンティー。その言葉で、俺の崩れていく価値観が崩壊するのをやめた。
そうだ。この世で信じられる者がある。金銭なんかより遥かに確かで愛しい価値観……それは愛だ。白真珠が青と白の縞々パンティーを履いている姿を想像してみろ。
青春の色を思わせる最高の縞々パンツじゃないか。彼女の実在だけは俺は確信できる。
この三日間、素直で暴走気味な可愛い一面をたくさん見せてくれた。俺は彼女のためなら……目の前にいるゲス野郎を倒せる。そんな気がするんだ。
考えろ。苦しみの魔王の弱点を。

「おやぁー?家畜君は現実逃避かなぁー?苦しみの感情を出さないともっと虐めちゃうよぉー?ほら絶望して泣き叫びなよぉー?」

夢の世界で俺は何にもできない。魔法もこの世界では発動しない。
だが、苦しみの魔王はとんでもない弱点を抱え込んでしまっている。ブラドさんと――魂ごと融合してしまった以上、ブラドさんの人格が消えるまでの間なら……魔王の精神を攻撃できるはずだ。
俺はブラドさんの魂に火をつけるような内容を即座に考え――必死に呼びかけた。

「おい、ブラドさんっ!」

「んぅー?僕と同化したブラドにでも土下座でもするのかい?何をしても僕は君をイジメ続けるけど、やってくれてもいいよ!
ほら!土下座しなよ!虐めるのをやめてくださいってさぁ!無駄な努力ご苦労様ぁー!」

「アンタの娘はな……かわいい孫娘を産んだぞ。オッパイが大きくて、縞々パンティーが似合う銀髪ロリ娘だ!しかも性格が良くて料理がうまいっ!最高の銀髪美少女だ!その顔に見覚えがあるはずだ!
ブラドさんの妻と娘さんと、同じ顔の白真珠って娘だ!あの娘はアンタの孫娘なんだよ!」

「え……?ブラドが反応している……?これは怒りの感情……?」

魔王の困惑の声を無視し、俺は速攻で勝負をつけるために畳みかける。これは精神に響く言葉の爆弾だ!

「俺はそんな可愛い娘と風呂に入ったし、裸を毎日眺めている上に、ベッドの上で優しく慰めてやっているんだぞぉー!どうだぁー!悔しいかぁー!
俺はロリコンだぞぉー!白真珠とえっちぃ事をたくさんしたい健全な男だぁぁぁぁ!とってもスケベーな事をしたいって本気で思ってる!そんな16歳の日本男児なんだよぉぉー!」

「こ、こら!暴れるな!僕の中で暴れるなぁぁぁあっ!下等生物がぁぁぁっ!お情けで同化した家畜の分際で調子に乗るなぁぁぁあ!同化されろぉぉぉ!」

「可愛い孫を不幸にしてもいいのかぁー!それでもアンタはお爺さんなのかぁー!俺にアンタの最後の希望を託せ!孫娘を幸せにしてやるから魔王を倒すのに協力しろっー!」

「消滅しろぉぉ!やめろぉぉぉぉ!家畜がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

ブラドさんの魂は、苦しみの魔王の中で暴れ続けているようだ。そう長くは持たないだろうが……夢の世界を崩壊させるのに丁度いい。
こうして俺は……苦しみの魔王の支配下から逃れたのだ。



(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚)つまり愛の勝利?

(´・ω・`)縞々パンツの勝利じゃな?

(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚)うわぁ……


 

 

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