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吸血姫はアホ可愛い!
25話「ロリのために囮作戦を考えたが、俺はロリコンではないA〜囮作戦スタート〜」
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問い;25話の魔物襲撃の意味は?
答え:マスコミ達に報道させてバグダインがすごいやばいやつだって宣伝するためにやった工作だお、でも、中ボスさんがさらに裏を掻いて破滅ルートへと突き進んでいるお。
ネタバレ伏線ver
http://suliruku.blogspot.jp/2017/01/25.html
悪徳都市の南には、大きな港を保有する装飾都市ウォーターロードがある。ダンジョン世界の中央に位置する巨大な海と隣接しており、膨大な物資と人間が行き来する交通の要所なのだ。
悪徳都市と装飾都市の道中に広がるのは、舗装されたコンクリートの道路。周りには草原や低い丘の数々がある。高速で移動するにはもってこいの道で、丘に伏兵を隠しやすいからバグダイン側の刺客が襲撃してくるはずだ。
政治家は選挙で落選すれば、ただの人間にすぎない。ブラドさんを殺害して落選させない限り……バグダインは今までのような四ツ星高級ホテルでの食べ放題や、有名女優とのスケベーな生活から永久に退場し、今までの汚職の数々が告発されて刑務所送りだ。そんで口封じに殺害されてあの世行きだろう。
そんなバグダインの刺客からブラドさんを守るために、十台の白い装甲車が、草原を走っている。搭乗者はブラドさん本人と、護衛の金バッジ冒険者とドナルド先輩、オマケでテレビ局のマスコミだ。白色の車じゃないと嫌だとブラドさんにゴネられたから、俺も白い装甲車両を新しく購入して乗っている。
俺が運転している車は、今、護衛車両の一番最後方に居た。隣の助手席には白真珠が暇そうに乗っていて――
「お師様……何も出てきませんね……」
……うむむ、悪徳都市から200km以上も離れたはずなのに、刺客の姿が全く見えん。テレビ局に情報を流したから、賄賂を貰っているマスコミ関係者が大喜びで、バグダインに情報を流しているはずなのだ。
俺がバグダインの立場なら、ブラドさんを必ず殺害するに決まっている。特に都市の外は魔物や無法者がウロつく危険地帯だ。ここでブラドさんを護衛とマスコミごと殺せば証拠の隠滅も容易い。
絶対、襲撃してくるはずだ。だから、こうやって暇な時間に耐えるのも冒険者には必要な体験なのだ。
「暇ですねー、お師様ー。戦隊ものだと悪党は一般庶民に対して悪いことをして、目的とか全部ペラペラしゃべってくれるのに暇ですねー。あー、暇だなー。
戦隊ものなら、饅頭屋さんを潰すために、大型百貨店の偉い人の振りをして、饅頭を大量に注文して、大赤字出させて倒産させたりしてわかりやすいのにー」
「小物かっ!?最近の悪の組織はそんな小さい悪事ばっかりしているのか!?」
「はい、仮面戦隊ナイターウザイダーってシリーズは、そんな感じの内容でしたよ?」
「もっと、まともな標的があるだろ……」
「例えば、どんな標的です?」
「首相官邸とか、原発とか、駅とかを狙った方が効果大きいだろ……」
「一般庶民を虐めるのが、今時の悪の組織の流行なんですよ、お師様」
これ以上。テレビの戦隊ヒーローの話をするのはやめた方が良さそうだ。きっとその悪の組織は世界征服を目的にしていないヤクザ規模の組織なのだろう。
「……ラジオ付けるから、それでも聞きながら見張りを続行しろよ。うっかり見落として敵の奇襲攻撃が成功したら笑い話にもならんぞ……」
俺はラジオのボタンを押した。すぐに悪徳都市から発信されている電波を車のアンテナが受信する。
『ワシが当選した暁にはっ!パチンコの設定はフィーバーモード!一ヶ月間フィーバーモードっー!銀色の玉がじゃんじゃんっー!』
この欲深い愚か者の甲高い声。俺には凄く聞き覚えがある。確か、ブラドさんと対立している大悪党――
『歴史的な指導者っ!バグダインに清き一票を!このバグダインに清き一票をっ!ワシが当選すれば新キョウトは土建大国を目指すぞいっ!ビルもじゃんじゃん建設しまくって、都市を今の二倍に拡張してバブル経済を到来させ、貧乏な連中にも美味しい想いをさせてやろう!じゃんじゃんっ!パチンコ店も玉がじゃんじゃんっー!フィーバーモードぉー!パチンコ店もよろしくぅっー!』
「お、お師様……これって僕のお祖父様を殺そうとする悪党の声じゃ……?」
「ああ……ひでぇ演説内容だな……他のパチンコ店の売り上げまで下がりそうだ……」
『そもそもぉー!この都市は窮屈に満ちておるっ!それは何故かっ!壁と水堀に囲まれて発展する余地が削られているせいであーるっ!この第一階層にも魔物が溢れるようになってから、ダンジョン世界の人類は重い税金を課されてきたっ!
だがぁっー!ワシなら今の状況を変えられるっ!今よりも冒険者を支援し、積極的に魔物を駆除すればっ!無限のフロンティアが舞い戻ってくるのだっ!ザ・フロンティア・スピリット!ワシらにはまだまだ見果てぬ大地が待っている!』
白真珠はバグダインの演説の内容に首を傾げた。
「……あれ?なんかまともなような……?魔物を駆除するのは良い事ですよね……?住める土地が増えれば家賃も下がると思いますし……」
「いや、この第一階層にすら魔物がウヨウヨしている時点で、人類にそんな余力はないと思うぞ……」
「でも、魔物相手なら物理攻撃通用しますし。アメリカとか大きな国々の軍隊を投入すれば何とかなると思うんですよ。爆弾とかじゃんじゃん落とせば、きっと圧勝ですよ?」
「出来るなら、とっくの昔にやっているだろ……ダンジョン世界じゃ、偽の空に衝突する可能性があるから航空機は運用し辛いし、ミサイルなんて低空を飛ぶ仕様の高級品じゃないと意味ないし、第一階層だけでも地球の表面積と同じくらい広いんだぞ。
それにプロの軍人はとんでもない人件費がかかる上に、死亡したら遺族の生活を保障しないといけないし、めっちゃ金食い虫なんだ」
「はぁ……そういうもんなんですか?僕、軍隊とか兵器の事とかよく分からないんですよね……魔物とか結構、簡単に殺せるから未来が明るいなと思ってます」
「魔物は確かに強くないが……繁殖速度は異常だからな。駆除しても駆除しても地面から勝手に生えてくるに等しいレベルな時点で、人類側が無理をしたら破滅するぞ。それに人件費も冒険者の方が総合的に安いし。死亡しても自己責任だから遺族の生活を保障しなくて済むという大きな利点がある。
まぁ、せめて第二層を奪還する事ができれば……魔物と魔族の連絡を断てて、逆転のチャンスがあると思うのだが」
「じゃ、第二層を奪還しましょう!」
「第二層に魔族がうようよ居て、遮断装置を大量に設置しないと勝ち目がないな」
「遮断装置?どこかで聞いた事があるような……?」
「遮断装置ってのはな。魔族の力を弱らせる電波を発生させる装置なんだ。これが第一層に大量にあるおかげで、魔族は思い切った侵攻ができず、雑魚すぎる魔物ばっかり使っているんだぞ。
まぁ、どんな装置なのか秘匿されているし、どれだけ設置されているのか、俺も知らんがな。ひょっとしたら魔力の影響を受け辛い金属を大量に使った超高級品の可能性もある訳だし、あと電力の問題もあって第一階層全てを覆うのは大変だから、遮断装置はきっと発電所の近くにあるんだろう」
『公共事業をじゃんじゃんっ!増やしぃー!偉大なワシは天に召されるであろうっー!そうっ!これは新しい時代の幕開け――』
突然、バグダインの放送演説が途絶えた。これは――どこかで大量の魔力を使っている。もしくは魔物の大群が近くにいる証だ。魔力対策をしていない安物のハイテク機械は魔力に弱い。電子海路が焼ききれて、すぐに壊れてしまうのだ。
「白真珠っー!敵はいるかぁー!?」
「お師様ぁー!後方から敵ですっー!」
「数は?」
「えと……1、2、3、たくさん?」
「4以上の数字を数えられないのか!?」
「数え切れなくらいたくさん居ますっー!」
白真珠のその言葉で、俺はバックミラーで後方を確認した。するとそこには――軽自動車やジープに跨った膨大な数のレッドゴブリンの集団が居たのだ。
だが、これはおかしい。魔物は魔族の手先。バグダインが差し向けたとするならば――奴は人類を裏切っている。そういう事になるのだ。
「おいおい……ありえんだろ……何が悲しゅうて魔族に寝返るんだよ……」
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(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚) 冒険者の賃金ってどれくらいでしょう?
(´・ω・`)特に考えてない。物価計算がめどい
(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚)こらぁー!?
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