ゆっくり戻るよ!
ゆっくり前に戻るよ ゆっくり次に進むよ!  14話のコメント欄はこちら

料理好きエルフの異世界ごはん
最終話「私は料理で無双する!」後編


カウンター日別表示 


転校生とともに、無事に学校へと到達したラッキー。
なんとか朝のホームルームに間に合い、一時間目の授業に突入した。
授業内容は歴史。
歴史の先生が、この国の歴史を黒板に描き、色々と話している。
そんな中、ラッキーはフライパンを片手に、色んな料理を作り、周りの生徒に売っていた。

「こらぁー!授業中に何をやってるんだぁー!」

頭がハゲている50代教師が激怒して、手に持っているチョークを投げた。
すぐに精霊さん達が防御。チョークを受け止めて食用チョークに作り変える。
ラッキーは、オムレツをフライパンの上に放り投げて焼く曲芸をしながら答えた。

「料理ですが……何か問題でも?」

精霊さん皿を持ってきて、ホカホカの空飛ぶオムレツを受け止める。
すぐに、近くにいる男子生徒へと売却した。
そんなラッキーの態度に怒った教師は、額をピクピクッしながら説教を始める。

「そんな事では将来、良いお嫁さんになれないぞ!」

普通、『就職先がないぞ』的な状況だが、乙女ゲーだから恋愛関連だった。

「私の好きなお師匠さまは、『料理を作る時のラッキーちゃん』が一番可愛いと言ってくれました。
だから、私はこれで良いんです」
「こ、この国の歴史を知らないと、後で恥を掻くぞ!」
「歴史くらいなら知ってますよ」

そう言って、ラッキーは卵を三つ割り、フライパンに入れた。
炎の精霊さん達にフライパンを熱するように命令し、新しいオムレツをすぐ作る。
フワッフワッのトロットロッ。とっても美味しそうなオムレツだ。
教師はますます怒った。

「じゃ、言ってみろ!
この国の成り立ちをな!」
「私のおじい様が、宇宙がある異世界から大艦隊と一緒に飛んできた事が始まりです。
支配制度は、主に浮遊大陸間の交易の独占。
交易ルートを支配する事で、帝国は莫大な軍事力を維持しています」
「アナタ様は皇孫殿下!?すいませんでしたぁー!」

教師が頭を下げた。
現実から、この光景を覗いていたイエローは、首を胴体から外して嘆く。

「なんて酷い学園生活。
僕のラッキーちゃんの幻想が全て崩れそうだ。
というか、カイン皇子(お師匠さま)。
どうやってラッキーちゃんの心を射止めたんだ……?
無理ゲーすぎる……」






その後も、ラッキーは全ての恋愛フラグをへし折った。
自由時間に、クラスの人気者と好感度をあげるイベントが発生しても、料理を食べさせて弟子にし。
水泳の時間帯も、青いスクール水着を着て、水中でマグロを解体。特上マグロ寿司で全生徒を感動させた。
理科室の科学実験で、新しい化学調味料を開発し、美味しいお菓子として売却。すぐに現実の製菓メーカーがやってきて権利交渉。
他にも、現実からやってきた殺人料理人達を次々と撃破して殴り、放課後へと突入した。

「もう駄目だ、この娘。
カイン皇子と結婚するまで、千年くらいかかりそうだ」

イエローはカメラ・アイを新型に変えて嘆いた。
現実空間には、敗れ去った殺人料理人達が気絶して倒れている。
無論、ゲーム世界に入り込むために、全員がヘルメットを被っていた。

〜〜〜〜

放課後。
それは乙女ゲーで、熱い告白イベントが待ち受ける時間帯。
幼い金髪のエルフ娘(約百歳)ラッキーの元に、様々なイケメンが訪れた。
お金持ち属性、幼馴染属性、スポーツ属性、硬派属性。どれもこれも選びたい放題。
しかも、ラッキーの料理を食べて惚れ込み、プロポーズする輩も多い。

「ラッキー!好きだぁー!付き合ってくれぇー!」
「私、既に付き合っている恋人がいるんです。別の娘を当たってください」
「うわぁぁぁぁぁんっ!」

バスケ大会で優勝したサクラダ先輩が無残に散った。
ラッキーが歩くところ、失恋した男達が気絶して倒れ、恋愛の敗残者が量産されている。
どのイケメンも、ラッキーの心を動かす事は出来なかった。
定期的にやってくる殺人料理人は物理で殴った。
そんな孤高の王者の姿を見たイエローは、ラッキーに問いかける。

「……ラッキーちゃん。
本当どうやって、カイン皇子と恋人関係になったんですか?
学生生活が酷すぎます」
「お師匠さまは……私が食材を欲しがっていたら、すぐに持ってきてくれる便利な人なんです。
どんな無理難題を言っても、絶対に持ってきてくれるんです。
……お師匠さまは凄いんです。
どんな食材でも調達する男性って素敵ですよね」

ラッキーは優しく微笑んだ。
イエローはツッコム。

「こらぁー!?
恋愛関連まで料理漬けとか酷すぎるでしょう!?」
「料理とは人生。包丁とフライパンは魂。
食材を持ってきてくれる相棒は……魂のパートナーなんです。
共に一生を生きてもいい。私は5歳の時に、そう思いました」
「早っ!結婚相手を決めるの早いのに恋愛下手!?」

イエローの反応に、ラッキーはクスックスッ笑う。
しばらく笑った後に、少女は太陽のような満面の笑みで

「イエローさん。
私、このゲームで分かりました。
私は……お師匠さまの事がとっても大好きなんだって。
他の男性なんて路傍の石か、弟子に過ぎないって分かりました」
「酷すぎる男性観だ」
「だから、今度、お師匠さまが店に来たら……プロポーズしてみようと思います。
私のファーストキスは結婚式の日に捧げるとしましょう」

こんな良い事を言っている時のラッキーの姿。
片手にフライパンを持って、王様チャーハンを作っている最中だった。
肉たっぷり、タマネギもたっぷり入れて、甘くした究極のチャーハン。
イエローはそんな少女を見て

「なんか、駄目だ、このエルフ」と呟き、首を360度回転させて、そのまま頭が世界一周旅行へと旅たったそうな。


〜〜〜〜〜〜

「という事でお師匠さま、そろそろ結婚しませんか?」

ラッキーは語り終え、作りたてのホカホカ牛丼をカウンターに置いた。
高級牛肉を存分に使い、甘くて有名な極甘タマネギを使った贅沢な逸品。
それを見て、お師匠さまは唾を飲み込む。
ラッキーのプロポーズに答えないと、食べさせて貰えない雰囲気。
当然、お師匠さまの返答は

「もちろん、ラッキーちゃんと結婚するさ!
ファーストキスと処女を両方頂いちゃうぜ!」

そう宣言して、お箸を握り、牛丼を勢いよく食べ始める。
――牛丼は美味しかった。
牛肉から染み出た肉汁は、タマネギとご飯が吸収し、全く無駄がない。
肉とタマネギとゴハンが生み出すハーモニー。それはまさに交響曲。
肉の上手さ、タマネギの甘さ、それら二つと合うように作られた隠し味つきのガーリックライス。
この牛丼は器に乗った芸術作品さんだ。
そして世界が一変。
先ほどまで……お店の中に居たのに、巨大な教会にいた。
俺は黒いタキシード。ラッキーちゃんは純白のウェディングドレスを着ている。
無数に並ぶ客席には、この国の重鎮たちが参列し、俺たちの仲を祝福していた。

「おめでとうかの?
わっちも千歳の頃に結婚したし、ちょうどええ時期じゃと思うんじゃよ?」

俺の母ちゃん……銀髪が似合うハイエルフの母が可愛く首を傾げ、小さな手でパチパチッと叩いてきた。
エルフ耳がピョコッピョコッ動いて可愛らしい。
俺の自慢の合法ロリ母ちゃんだ。

「あらあら、おめでとう。
ラッキーを幸せにしてあげてね?」

ラッキーの曾祖母の猫娘マニィがそう言って、俺たちを祝福した。
隣にいる曽祖父の犬人エールが涙を流して、曾孫の幸せに感動している。犬耳がピョコピョコッ動いていた。

「このロリコンめ。
ちゃんと幸せにするんだぞ」

俺の親父。仮面皇帝ナポが、銀色の仮面で嬉し涙を隠しながら、本心を隠した罵倒を浴びせてきた。
全く……最後の最後までツンデレすぎるぜ。

「ラッキーを不幸にしたらぶっ殺す。
絶対に幸せにしなさいよね?」

ラッキーの祖母の犬娘ルビーが殺気混じりに賛辞を送った。
彼女の鋭い紅い目は、約束を違えたらマジで殺すという意思を表明している。
次々と送られる賛辞。
俺は花嫁の姿を見つめる。
白いウェディングドレスを着た、幼い少女(たった百歳)。
輝く黄金の髪が綺麗な……大切な女性。
ラッキーは顔を赤く染め、微笑んできた。

「今日からお師匠さまと呼ぶ事をやめます。
……旦那様と呼んでも良いですか?」

ああ、もちろんさ。
ラッキーちゃんを嫁にできた俺は世界一の幸せ者だぜ。




ラッキーはこうして、前世で叶えられなかった夢を果たした。
料理と愛。
両方を追求し、勝利し、全てを得た。
料理の神は、天国からラッキーへ賛辞を送る。

「クッキング・マスター……いや、ラッキー。
お前がナンバー1だ」



お  し ま い 







おしまい

本当の戦いはこれからだ!






ラッキー(´・ω・`)あ、あなた様はっ!?……もしかして神様?

料理の神( ^ω^)お前を転生させた神だ!……と名乗る安っぽい神がいると思ったか!
ああ……そうだ!私は神だ!

ラッキー(´・ω・`)(安っぽいなぁ)

審査員(´;ω;`)(´;ω;`)もうやだ、こいつら


料理の神( ^ω^)私はここでっ!お前を倒すっ!
そして全世界を征服しっ!最強の座を得るのだぁー!

ラッキー(´・ω・`)分かりました!
やりましょう!料理バトル!

料理の神( ^ω^)さぁ来い!
クッキングマスター!

ラッキー(´・ω・`)ところで料理テーマは?

料理の神( ^ω^)年越しそば!

ラッキー(´・ω・`)なるほど、時期にあった良いテーマです。
その勝負っ!受けます!

料理の神( ^ω^)うおおおおおおおお!!!

ラッキー(´・ω・`)おらおらおらおらっ!

料理の神( ^ω^)クッキングッ!クッキングッ!クッキングマスター!

ラッキー(´・ω・`)料理は愛情っ!友情っー!努力っー!勝利っー!


審査員(´;ω;`)(´;ω;`)やめてぇー!
それ以上っ!二人が戦ったらっ!世界が崩壊しちゃうー!


料理の神( ^ω^)世界が崩壊してもっ!よかろうなのだぁー!
最強の究極年越しっ!そばっ!完成っ!

ラッキー(´・ω・`)こっちも出来ました!
年越しそば!


審査員(´;ω;`)(´;ω;`)←死体(描写できないくらいにバラバラ)



料理の神( ^ω^)料理の余波で死んだか・・・雑魚どもめ・・・


ラッキー(´・ω・`)なんて情けない審査員さん・・・はいっ!蘇生料理!


審査員(´;ω;`)(´;ω;`)もう、何度この娘に殺されたんだ。私達。
・・・あ、ラッキーちゃんの年越し蕎麦うまい。
ヘラクレス並のムキムキ無敵ボディになった。
ラッキーちゃんの勝利です。
彼女の料理を食べただけで若返ります。


料理の神( ^ω^)ば、馬鹿なっ・・・!?
私の負けだと!?


ラッキー(´・ω・`)あなたに足りないのはっ!
愛なんです!料理に愛が足りませんっ!

料理の神( ^ω^)師匠と呼んでもいいか?
クッキングマスター




審査員(´;ω;`)(´;ω;`)闘い終わった後は、いつも友情展開だぁ……結果的に仲直りするなら、仲良く料理しろよ・・・・お前ら・・・

ゆっくり戻るよ!
ゆっくり前に戻るよ ゆっくり次に進むよ!  14話のコメント欄はこちら
ブログパーツ