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モヒカンオンライン  2012/5





核戦争で荒廃したという設定を持つゲームの世界観は、廃墟と荒野と砂漠ばっかりで構成されていて殺風景である。

普通のゲームならば、ありとあらゆる場所を用意し、プレイヤーに四季を感じさせ、風景を楽しめるように作るのだろうが、このクソゲーは世界観に忠実だった。

何処らへんがクソゲーなのかと言うと・・・このゲームは、蹂躙される側・虐殺される側でしか無料でプレーできず、無双する正義のヒーローは有料プレーなのである。








岩と地面しかないような荒野をバイクを駆る集団が走っている。

数は400を超え、全員がモヒカンやスキンヘッドと呼ばれるヘアースタイルをしており、釘バット、血で錆びた斧、火炎放射器などなど、悪役らしい武装をしていた。

「「「「「「「「「今日こそマッハ兄貴は虐殺だぁっ!いつもの4倍の数を連れてきたぜ!ヒャッハハハハ!」」」」」」」」

このゲームは、基本的に悪人キャラ達が正義のヒーローに虐殺される仕様になっているので、経験値を稼ぐのも、お金を稼ぐのもマゾなゲームである。

唯一の救いは、死亡しても何のペナルティもないという事であり、これが彼らを何回も正義のヒーローへと挑戦させる原動力になっていた。

悪党が狩るべき一般人NPCは、入口が強過ぎるNPCキャラに守護された街などにいるので狩ることが困難であり、強敵を狩る以外には序盤の選択肢がない。

そんな難易度が高すぎるゲームの中、彼らは数の暴力で強敵達を打倒し、少しづつお金と経験値を溜め、このゲームの世界を楽しんでいる。

「このマッハ兄貴のマッハパンチを今日も食らいにきたかっ!この雑魚どもめ!」

400人の悪党達の進路方向には、身長3mの全身筋肉マッスルな怖い顔をしたボクサーさんがいる。

頭を丸坊主にしており、どう鍛えたらそんな筋肉になるんだという感じにモリモリの筋肉だった。

この筋肉マッスルがマッハ兄貴とゲームの中で呼ばれ、今回の狩りの対象になっている。

どうしてマッハ兄貴と呼ばれているかというと

「マッハパンチっ!」

音速を超える速度でパンチをして、真空波とかだせる超人ヒーローさんだったからだ。

「ウベラッ!」

100mくらい離れていても、その真空波は届き、悪党の一人の頭にヒットして破裂するほどに強力である。

そして、先頭の1人がバイクごと脱落したので、後ろを走っていた5人が交通事故を起こし、爆発炎上して即死する所がクソゲーだった。

「マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ! 」

マッハ兄貴は接近される前に少しでも数を削ろうと、マッハパンチを何度も繰り出す。

しかし、いつも虐殺されてばっかりいる悪党達はバイク部隊を散開させ、被害を最小限に留めつつ、マッハ兄貴を屠ろうと近づいている。

次々と仲間が死亡していく中、悪党達はそれぞれの武器を構え、まずはロープをヒュンヒュン回転させている連中が襲いかかった!

「「「「「「「「ヒャッハー!ロープに繋がれて、俺達と一緒に荒野を走りやがれぇー!」」」」」」」

マッハ兄貴の身体の各所にロープが引っかかる。

胴、腕、首にロープが絡まり、複数のバイクの馬力でマッハ兄貴は引っ張られるが・・・なんと、マッハ兄貴の身体はビクともしなかった!

「ハハハハっ!その程度の力では足りぬなぁっ!全然足りぬぞっ!後悔しながら死ね!

マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!」

「ユベシッ!」「ウベラッ!」「ユゲブッ!」「ユンヤー!」「ユギャッ!」

ロープを持つ悪党達は瞬時にマッハパンチの餌食となり、即死するっ!

しかし彼らの犠牲のおかげで悪党達は、マッハ兄貴を包囲する事に成功していたので無問題だ!

数十人のモヒカン達が火炎放射器を構え、マッハ兄貴を確実に殺害するべく行動していたのであるっ!

「「「「「「「「「「「「「「「「マッハ兄貴は炎で消毒だぁっ!ヒャッハハッハ!」」」」」」」」」」」」」」」」」

人間を軽く焼き殺せる炎達が群となし、マッハ兄貴の周辺を覆い尽くすかのように見えたっ!

マッハ兄貴は炎に包まれる前に、足に力を籠め、勢いよく地面を蹴って空高く舞い上がるっ!

攻撃が回避された事で、炎の群は悪党達を焼き、火炎放射器の燃料タンクに引火して爆発炎上し、百人のプレイヤーが一度に死亡した!クソゲー!

「ふんっ!空中には炎がないぞっ!ほれっ!空中から攻撃をしてやろう!

マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!」

「ウベラっ!「ユビッ!」」「ユビャッ!」「ウゲラッ!」「ユギッっ!」

同士打ちで大被害を被っている悪党達にもマッハ兄貴は容赦しないっ!

音速を超える速度で放たれるパンチから発生する真空波で悪党達はどんどん数をすり減らすっ!

だが、悪党達はまだ策を持っていたっ!

「「「「「「「「「「「「「「「空中なら回避できねぇよなぁっ?自分から死に場所に突撃してくれた事に感謝するぜぇっ!

礼に鉄製の矢をくれてやるっ!!返却の必要はないぜっ!ヒャッハー!」」」」」」」」」」」」」」」

マッハ兄貴が空中にいるという大チャンスを見逃さず、ボウガンで狙いを定めて射出したのだ!

しかし、そんな事でマッハ兄貴を倒せたら苦労はしないっ!

マッハ兄貴は、迫り来る矢の群に狙いを定めて、素早くパンチを繰り出したのだ!

「マッハパンチっ! マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!マッハパンチっ!  」

なんとっ!全ての矢が迎撃されているっ!

マッハパンチの連打で矢が無力化され、マッハ兄貴に一本も到達しなかったのだ!

「「「「「「「「「「「「「・・・・・・・・・・!」」」」」」」」」」」」」」

さすがの悪党達もこの光景に絶句して、動きが止まる。

マッハ兄貴はいつものように地上に優雅に着地し、悪党達に顔を向けて

「死にたい奴から前にでろ。俺のマッハパンチで殺してやる。」

キリッとした顔で悪党達に偉そうに言い放った。

そして、少し経過してからマッハ兄貴によるスーパーウルトラ虐殺ヒャッハー劇場が開始され、悪党達は今日も敗北してしまったのである。











(´・ω・`)18禁小説ばっかり書いているから、たまには全年齢小説を書かないといけないなーと思って書いてみた。



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