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Elona 二次創作   
第一話 かたつむり観光客の悲劇

 




このノースティリスの地は、かたつむりに厳しい。全世界何処にいっても害虫扱いだ。
人と同じくらいの大きさのあるカタツムリの私はそう感じている。
ちゃんと、一人の人間っ!としての人格を有し、犯罪行為もやっていないのに、カタツムリの命が理不尽なほどに低いのだ。
けしらかん。けしからん。こんなにキュートで逞しい殻を被った一族を害虫扱いなんて許せない。
私は、町の外で作った【かたつむり虐待反対!】のプラカードを手に持ち、鉱山都市ヴェルニースへと向かう。
毎回毎回、町に入っては天敵の清掃員に問答無用で殺されては、何回も復活の魔法の代金を払ったか分からない。
その度に怒り狂った私は、法律の範囲内で報復をやっているのだ。
町にいる子供を殺したり、清掃員を食べ殺したり、浮浪者を奴隷にして売り払ったりするぐらいで、全く悪事に手を染めていない。
猫の肉を食べるという極悪犯罪や、市民を殺害したりしてない私は健全なカタツムリなのだ。
昨日捕まえた人間の子供の肉をむしゃーむしゃー食べながら私はそう思った。
人間の子供は美味しい。町に行く度に、見かけた子供を全て殺してご飯にしている私はグルメだ。
清掃員さえ居なければ、もっと子供の肉を調達して、一族に分けてあげる事ができるのに悔しい。

 

 

 




ウェルニースの町が見えてきた。
鉱山まで引かれた鉄のレールが各所に見え、鉄を精錬するための施設から煙が出ている、
私はキリッ!と顔を締め、彼らに私の主張を聞いてもらおうと町に近づく。
私の足は遅い。
それでも、この足並みは偉大なる一歩なのだ。
カタツムリへの偏見と差別をなくすための偉業なのである。

町の入り口で小さな子供達がワイワイ叫びながら遊んでいるが、今日は見逃してやろうという寛大な気分。
彼らの肉はとても柔らかくて美味しいが、プラカードが血で染まるから駄目だ。

「きゃあああああああああああああっ!!!!」

酒場の近くを通ると叫び声が聞こえた。
私はチラリッと視線を向けると、一人の吟遊詩人が集団に投石されている。
きっと、下手な演奏をして、彼らの怒りを買ったから、これから殺されるのだろう。
吟遊詩人は美味しそうな人間の少女で、食べたくなるような肉つきをしている。
だが、私は我慢する。ここで血がプラカードに付いたら大変だ。
騒動に巻き込まれないように道を進み、町の中心地へとでる。
大きな井戸があって、果実を実らせた木があって美味しそうだ。

「ぎゃあああああああああああああああああっ!!!
エイリアンだああああああああああああああああっ!!!
エイリアンがガードさんの腹からでたああああああああっ!!!!」

またもや騒動が発生していた。
どうやらエイリアンが街を守るガードさんのお腹から生まれたらしい。
かの種族は、宇宙からやってきたような奇怪な格好をしていて強い。
相手に卵を寄生させ、母体を食い破ってでてくるから厄介な種族だ。
一撃必殺の酸攻撃を食らったら、プラカードが消滅してしまうほどに恐ろしい。
私は騒動が発生している場所から離れる。
エイリアンは、井戸の水を飲んだりしていると、普通に身体に寄生するから厄介なのだ。
きっと、今回もそういう経緯でエイリアンが街中に発生したのだろうと私は思う。






私は、騒動から逃げるために商店街付近まで足を運んだ。
この商店街には宿屋とパン屋を兼ねている店があって、私はよく床に落ちているパンを食べたものである。
盗まずに食べれば、犯罪行為じゃないのだ。
食べ物を床にいつも置いてくれる店主の親切がありがたい。

「ぎゃああああああああああああああっ!!!!
終末だああああああああああっ!!!!
あの冒険者さんがモンスターを退治したら、終末がおきたあああああああああっ!!!!」

一瞬、目の前に炎の柱が幾つも吹き上がり、商店街そのものが炎に包まれて、強そうなドラゴンと巨人達で埋め尽くされていた。
きっと、終末を呼び寄せる剣を誰かが使って、こんな事態になったのだろう。
私はパンが食べられない事が残念だと思いながら、別の方向へと逃げる。
私の背後からは、幾つもの終末の炎の柱が大量に吹き荒れて、ドラゴン達が次々と召喚される悪夢のような事態になっているが気にしない。
カタツムリに出来る事に限りがあるのだから仕方ないのだ。
私に出来ることは、カタツムリの地位向上のためのアピールだけである。

 

 


この町そのものが危険地帯になった事を理解した私は、街の外を目指した。
各所でエイリアンが人を襲って妊娠させ、ドラゴン達が大暴れし、町そのものが炎に包まれそうで危ない。
こんなところでアピール活動をしていたら、復活の魔法の代金分の損をしてしまう。
私は遅い足で急ぎ、町の外へと向かう。
奇跡的に、モンスターはこの方面にいない事を、私は幸運の神様に感謝した。
・・・・・・・・っ!し、しまった!
最大の敵が街の入り口にいるっ!
奴は、町を掃除するための清掃員の格好をしていて、塩を手に持っていたっ!
カタツムリは、あの塩が弱点だから、私は清掃員が大嫌いなのであるっ!
すぐに清掃員を殺そうと、私は口を使って手裏剣を投げた。
だが、私の手裏剣が清掃員を殺害する前に塩がとんでくる。
あの大英雄カタツンツンすらも一撃で倒した塩が私の身体にかかってしまった!

あああああああああああああああああああああっ!!!
とけるうううううううっ!!!!!
からだがああああああああああああああっ!!!!!
あついいいいいいいいいっ!!!!!!!!
とろけるううううううっ!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カタツムリの地位向上に私は失敗してしまった。
嫁に蘇生されて、私はカタツムリの嫁に怒られている。
一週間分の稼ぎが復活の魔法で台無しだったのだ。
復活の魔法の書は、非常に高い値段で取引されているので、有名な冒険者兼観光客である私にも辛い額だ。
嫁に説教されながら、私はとても魅力的でナイスバディなカタツムリのお嫁さんに怒られる事に身体がビクンビクンして気持ち良い。

ピンク色の殻がキュートで可愛いくて扇情的だ。白いヌチャヌチャした肌は幸運の女神すらも霞む美しさ。
そんな愛しい嫁に説教されるだけで、身体がビクンビクンする。
私は嫁を押し倒して、カタツムリらしいヌチャヌチャした夫婦の営みを繰り広げたのだった。





 

あとがき

(´・ω・`)おそらとんでるみたいっ!

 

 

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